姫路市議会を傍聴して思ったこと

末廣 恭子


この2ヶ月、インターンを通して竹内議員の下で色々なことを勉強させて頂きました。実際に本会議・委員会を傍聴する機会もありました。そこで率直に一大学生として感じたことを記したいと思います。

本会議について
まず本会議について考察してみたいと思います。本会議はケーブルテレビによって中継されています。国会中継のように本会議を茶の間からでも見ることができます。この仕組みは大変すばらしいと思います。質問内容が一部字幕になっているため、何についての質疑応答かすぐに分かります。また本会議は委員会と異なって、傍聴者に資料が配布されました。

ただし、本会議の日数のカウントの仕方は不思議に思いました。今回の04年第3回定例会だと9月3日から10月6日までの34日間が期間となっています。実際には委員会を合わせても18日ほどにしかなりません。市議会の広報ポスターにはそれぞれの会議の日程が載っていますが、ポスターに載っている日数と本会議で言われる日数が異なり、戸惑いました。市民の方も同じかもしれません。

委員会について
委員会については、資料を配布して頂けたらもっと分かりやすいと思います。マスコミ関係者や傍聴議員の方々に配布しているので、是非一般市民にも配布して頂きたいです。委員会中に資料閲覧は可能ですが、傍聴と資料閲覧が異なる部屋で、わざわざ別室に移動して閲覧するのは難しいと思います。そもそも資料閲覧が可能であることを市民の皆さんも知りません。資料が配布して頂けない理由は、コピーや用紙代がかかるにもかかわらず、傍聴者が殆どおらず資料が無駄になるというコスト面を考えてのことであると伺いました。もちろん環境やコストに配慮することも大切なことです。一般発表されていない情報が先に一人歩きしてしまう可能性も考えられるということですが、マスコミには市議会の委員より先、当日の朝に配布しているといいます。つまり既に公表されている文書なのです。
実際に傍聴しても、議案は特殊な用語が多いため、耳で聞きとるだけだと理解するのは困難です。「何ページ」とか、「上から何行目」とか、説明や質疑の中では資料に基づくところも多々あります。私が傍聴させて頂いた時も、資料がない為に用語が分からず、傍聴自体が意味をなさない事もありました。それは私の勉強不足や、私が姫路市民でないため土地に不慣れなことも原因でしょう。ただ市民が皆、あらかじめ市政について詳しく知っているわけではないと思います。そういう人に分かり易くすることはできませんか。

市会議員は市民の代表。市民に選ばれて送り込まれている。その代表の出席する議会や委員会などは当然市民にも分かりやすいことが望まれませんか。政治はマスコミや議員の方々だけのものであってはいけない。いつでも誰でも気軽に傍聴できる、傍聴しようと思わせる市議会であってほしいと思います。資料を配布される人とされない人の境界を、政治への市民参画の難しさと感じてしまう人がいるかもしれません。少なくとも私は強くそう思いました。

委員会では傍聴者は10人まで着席できます。そんなにたくさんの人が傍聴することはあまりないかもしれません。それでも複数年幼稚園の拡大や幼保一体化について委員会で討議された時は、多数の市民が傍聴していました。委員会室は5人程入ると少し窮屈に感じます。答弁担当の市職員の数が多い部署になるとなおさらです。市職員の方が立ち上がる際に椅子を引くスペースの確保も困難な様子でした。椅子に付いているアームレストと机の高さがつり合っていないために、机の中にうまく収まらないようです。委員会の傍聴席の配置についても、傍聴側からは市職員の方の背で議員が見えにくいのです。市職員の方の数が多いときは特にそう。ネームプレートが少し見えにくい時もあり、誰が意見を述べ、質問しているのかが分かりにくく感じます。傍聴人としては市職員と議員の方々両方が見える席に位置したいと思いました。席の位置の工夫はできないものでしょうか。

また委員会記録を見ていて思ったのが、委員会質問者の方の名が明記されていないことでした。テープ起こしは大変だとは思いますが、どの人がどういう質問をしたのか知りたいところです。是非、委員会記録に発言者名も記して頂けないでしょうか。市民としては議員の方々がどんな議会活動をされているのか知りたいのです。

委員会の部屋の温度についても考えました。市役所のノーネクタイのエコルック期間は温度設定が28度と高めです(本会議ではノーネクタイは認められていません)。暑い室内で効率が悪いように思いました。こんな話もあります。入社テストで小包を開けるように指示されたところ、ひもを丁寧にほどいた若者と、はさみでひもを切って開けた若者がいました。採用されたのは後者でした。タイム・イズ・マネーだそうです。これも仕事の能率を取るか、経済性・環境への配慮を取るかで難しいところですが。

特別委員会では、会計の審議をされるときの伝票の量は膨大です。ある議員がおっしゃっていましたが、その場で偶然開いた場合だけでも、おかしな伝票が見つかるそうです。伝票チェックの時間を事前に十分にとるようにしてはどうでしょうか。他都市でそういう取り組みもあるようです。

委員長の権限とは何でしょうか。一人の議員が延々と質問する委員会もありました。悪いことではないと思います。その間、他の議員の方々は殆ど質問されませんでした。委員長によっては、簡潔に質問してくださいというし、人によっては何も言わない。それは委員長の裁量というより、年功序列的な考え方があるようです。ルール作りも必要では。

年功序列について
姫路市議会で強く感じたのは私の住む芦屋市と比べて年功序列(当選回数)という考えが強く生きているということです。同じ選挙で選ばれた代表なのに。芦屋市は若手議員が多いせいか、年功序列はそんなに感じませんでした。姫路市では年功序列の考えが深く根付いていて、必ずしも選挙での獲得票数が反映していないように思います。高校の部活を思わせる先輩後輩的関係があるのかもしれません。何期にも渡って市議会に在任されている方のほうが市政に精通しているでしょう。しかし、政治は政策立案能力。先輩後輩は関係ありません。その人の力量を知る為のものさしは別です。議長や会派の重役は全て年功序列に基づいて決まっているようです。市民の意見をより反映させるために制度改革が必要ではないでしょうか。
市職員の方に対しても、議員の権威をかさに着て利用している方もいらっしゃるようです。それは市職員の方に対するものの言い方にも表れています。議員である前に1人の人間として、当選回数の多い議員の方ならなおさら、市民のお手本になるようにふるまってほしいと思います。年功序列にとらわれず、本当に姫路市民のためになる市議会であってほしいと思いました。