県議会決算特別委員会
平成23年10月17日 竹内質問と答弁について

質問要旨(クリックすると質問の該当箇所へ飛びます)  質問通告-前日

小問・枝問 質問趣旨・その後の措置など
1.ノンステップバスの官民格差と地域間格差について

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2.(財)兵庫県住宅建築総合センターと兵庫県住宅供給公社について

※参考人−兵庫県住宅供給公社理事長・専務理事

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質問・答弁全文


項目 質問・答弁
1.ノンステップバスの官民格差と地域間格差について
本県では、高齢者、障害者、乳幼児連れの人などが日常生活や社会生活を営む際に利便性と安全性のある環境整備を図る一環として、あらゆる人が乗り降りしやすいノンステップバスの導入の促進を図るため、民営バス事業者に対し、購入費補助を行ってきた。 県内のノンステップバスの保有状況を見ると、平成22年度末時点でバス総数に占める割合は40.9%、1,053台であり、導入台数のうち、公営が614台、民営が439台となっており、それぞれのバス総数に占める割合は、公営76.6%と民営24.8%と大きな格差が生じている。そして、公営のバス事業者とは神戸、明石等に限られ、特定の自治体を中心に運行していることでも分かるとおり、ノンステップバスの官民格差とは、実は県内の地域格差となっているのである。国の基本方針である平成32年度の導入率目標70%を達成する必要性からも、民営事業者の導入率アップのため、引き続き民営事業者への支援に取り組む必要があるが、導入のお願いや呼び掛けだけでは成果は限定的である。地域格差を解消するための方策について伺いたい。■県は「生活交通改善事業計画」の中で、平成25年度末までに県内の乗り合いバスのうちノンステップバス1,100台を確保するとしている  ■県は平成22年度までに、民営バスの車両数の概ね25%がノンステップバスになることを目指してきて補助を行ってきており、概ねの目標は達成している。  ■都道府県別の導入率は東京の56.6%を筆頭に、愛知52.5%、京都49.8%

(答弁)
本県では、高齢者や障害者をはじめ、誰もが安心して移動や活動ができるよう、平成5年度から民営バス事業者のノンステップバス等の購入に対して補助を行っておりますが、平成22年度までに295台のバスの購入を支援してまいりました。本県のノンステップバスの導入率は平成22年度末において全国平均27.9%に対して40.9%となっておりまして、全国第6位となっております。このうち、民営バスにつきましては、@ノンステップバスがコスト面で割高であること、そしてA積雪地域や中山間地域等の路線によっては低床のバスは適さないことなどによりまして、導入率が公営バスに対して低い状況にございまして、結果としまして委員ご指摘のとおり、公営バスが運行している都市部とそれ以外の地域でノンステップバスの導入状況に較差が生じているものと認識しております。一方、平成23年3月末にバリアフリー法に基づく国の移動等円滑化の基本方針が改正され、平成22年度までに30%をノンステップバスとする目標が、ご指摘にありましたとおり、平成32年度までに70%と大幅にその目標が引き上げられたところでございます。  本県としましては、今年度に設置いたしました、県、市町、民営バス事業者によるノンステップバス導入推進協議会におきまして、ユニバーサル社会づくりの理念を踏まえまして、新たに示された国の導入目標の達成に向け協議、調整を進めていきますとともに、民営バス事業者のノンステップバスの購入費補助を継続することによりまして、さらに導入促進をしてまいりたいと考えておりますので、ご支援、ご指導のほどよろしくお願いいたします。

2.(財)兵庫県住宅建築総合センターと兵庫県住宅供給公社について (財)兵庫県住宅建築総合センターが、今後する見込みのない約230億円の貸付金を返還するよう会計検査院から国土交通省が指摘を受けたと聞いているが、会計検査院といえば、昨年も知事がまさかという内容の不適切経理等を指摘するなど、国の補助金や基金に関して、本県の支出行為等までチェックをしている。本来であれば、県内部のチェックをはじめ、監査や議会の審査の過程で改めなければならないことが、外部のそれも国の機関に指摘されるというのは、確かにプロとはいえ地方分権の時代にあまりいいこととは言えない。国に先に指摘されたことは私自身も非常に恥ずかしい思いである。今回は、国の拠出した資金が使われていないという指摘だったが、その資金について遅ればせながら私なりに調べさせていただいた。すると報道では「事業が完了していないので残していただけ。使わない分は返納する」(読売新聞10/8)とコメントしているが、実は簡単には返せないことがわかった。資金は兵庫県住宅建築総合センターセンターではなく、他の公社で実際に使われていることがわかったからである。その点について順次確認していきたい。決算にあわせて当局から提出されている「県の出資等に係る法人の経営状況説明書」にも少し記載があるが、この230億円が充当される「被災住宅再建対策利子補給事業」とは「阪神・淡路大震災からの復興を促進するため、兵庫県から受け入れた補助金により、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等への利子補給事業を実施する」こととなっている。同センターの財務諸表でも確かに、固定資産として230億円の「被災住宅再建対策引当資産」がある(一方の負債に、「被災住宅再建対策預かり金」として同額が記載されている)。調べてみると、この引当資産の内容は、兵庫県住宅供給公社 貸付金139億9,500万円兵庫県住宅供給公社 公社債 90億8,500万円三井住友銀行 預金 102万1589円となっている。実は100万余りの預金以外の230億円ほぼ全額が、貸し付けまたは公社債という形で、兵庫県住宅供給公社に貸し出されているのである。ということで、今日は、住宅供給公社から参考人にもお越しいただいている。住宅供給公社は貸入金の139億9,500万円を「短期借入金」に計上して、1年以内に返還する負債として位置付けている。公社債の 90億8,500万円は負債に含まれている。しかし、住宅供給公社の流動資産は74億円。固定資産は多額で1162億円あるものの大半が賃貸事業資産としての土地や建物。賃貸事業資産は公社の基幹事業の財産で売却は難しく、他の資産も売却できるなら既にしているはず。資産の現金化ではなく、新たに公社債を発行するか、どこかから借入をする、つまり借金をするしか返せないのではないか。

 いずれにしろ、いつ、どのような経緯でセンターの資金を活用することになったのか?また、今後、この資金は東日本大震災の復興支援資金に使うということで、早く返さないといけないわけだが、すぐに全額返済が可能なのか?また23年度の資金計画の修正議決も含めて対応が必要では思うが、どう対応するのか?お伺いする。

(答弁)
 住宅供給公社の住宅復興助成基金活用の経緯と返済について当公社では阪神・淡路大震災からの住宅復興におきまして、県の住宅復興計画に基づき、10,000戸の住宅供給を行いました。被災者の住宅確保に努めてきましたが、これらの建設資金として金融機関から多額の借入を行ったところです。その後、景気や震災の影響などがあり、公社経営が厳しくなったことから、経営改善の一環として、関係機関と協議のうえ、震災からの住宅復興を目的に設置されました住宅復興助成基金を活用することによりまして、金融機関からの借入金の利息軽減を図ることとしたところです。平成14年度から貸付金として140億円を借入れ、また、平成18年度から90億円の公社債を引き受けていただいたところであります。その結果、金利負担は平成22年度末で約20億円軽減されている状況です。

 当該基金の返済につきましては、現在、県と国で返済方法、時期につきまして協議を行っていると聞いていますが、公社としては、現在の経営状況からすると、契約期間を繰り上げて、全額返済することは難しいことから、県に対しては、その点を十分考慮のうえ、国との協議を進めていただきたい旨、申し入れているところです。いずれにしても、公社としては、国と県で決定される方針によりまして、返済していきたいと考えています。なお、平成23年度資金計画の修正につきましては、必要があれば適切に対応していくということにしております。

(意見)
 キャッシュフロー計算書では23年度に繰り越される現金、現金同等物は19億円。毎年度の利益で返すとなるといつになるかわからない。東日本大震災のために使うと言うなら、当面新たに借金し返済せざるを得ないだろう。阪神・淡路大震災に係る住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の災害復興住宅融資が終わる2013年までという約束だったから県として余裕資金を如何に運用しようが自由というのは理解できる。しかし、この制度の利用についてだが、平成15年から1件も新たな交付決定がなく、利子補給にしても16年の3万8千円を最後に実行されていない。今年度の事業計画では、1件38万3千円の利用計画があるとしているが、現行の金利水準から判断すれば、2.5%を超える分という基準を超えることはありえず、この制度の利用はないと思う。会計検査院の指摘も正しい。いずれにしろ、資金繰りについて、神戸市住宅供給公社の破綻もあり、新たな借金などの資金繰りは厳しくなっていると思うが、

(質問)
 230億円の公社の資金の流れを調査する中で、平成18年に、住宅供給公社の金55億円が県の県債管理基金に積み立てられたことになっていることがわかった。これは公社の余裕資金で、県で運用してもらった方が有利ということで預託されていると聞いているが、公社にこうした余裕資金があるのならこれを返してもらって返済の原資にすべきものだがどうか?

(答弁)
 県債管理基金の積立金の返還について55億円につきましては県への預託という形で運用していますが、公社としては、安全確実で有利な運用であり、また、公社の経営状況が大変厳しい中、緊急時の資金需要に際しても迅速かつ弾力的に対応できる運用であると考えております。

(意見)
 余裕資金を預けている、つまり金融機関に預けているのと同じことなのだから、理事長として「必要なので返済してほしい」と知事に伝えるべきだと思うが、権限や実際の人間関係からはここでいう話でもないかなとも思う。

(質問)
 この際だから、もう一つ確認するが、私の調査で、住宅供給公社の資本金が22年度、利益剰余金を含めて61億2千万→46億6千万円と14億6千万円も減少していることがわかった。先の県議会本会議では知事は、同公社について「平成22年度決算でも黒字を計上しており」と答弁されていたのでおかしいと思ったが、損益計算書では確かに1億1千万円の当期純利益が出ているものの、損益計算書の外で利益剰余金から15億7千万円(1569百万)が取り崩され、負債の未払金に「芦屋浜水源負担」として計上されていたことがわかった。本会議では、黒字と説明している一方で、利益剰余金を含む資本が14億6千万円も減少している。これは全体として黒字ではない

 この詳細については、議会に提出された資料をみてもわからない。「資本」の「利益剰余金」の中の約15億円が、今年から「負債」の「未払金」へ「振り替え」られたということである。おかしいと思って更に調べると、平成18年度には、今回の逆で、「負債」の「特定準備金」を「利益剰余金」に入れ、「資本」が多くなる経理がなされていた。問い合わせると、平成17年まで、芦屋浜水源負担の将来負担を見越して「特定準備金」14億34百万を「負債」に計上していたが、国土交通省所管の(社)全国住宅供給公社等連合会というところから会計基準の改定について通知があり、18年に「資本」の「利益剰余金」に「整理」したという。18年度、この会計処理だけで資本が14億34百万も増えていた。今年の決算では、今度は逆に、この資金を未払金に計上し、元に戻ったという。(質問)今回、資本から負債に戻したことで、過去18・19・20・21と4年の決算において、芦屋浜水源負担の将来負担という負債が資本に含まれていたおかしな状態は解消された思うが、私の指摘で概ね正しいのかどうか確認させてほしい。

(答弁)
 会計の流れとしては、委員のご指摘のとおりであります。ただ、平成19年3月においては、芦屋市と係争中であった芦屋浜水源負担金の金額が未確定でありました。このため、特定目的積立金として積み立てることができませんでした。やむなく利益剰余金として整理したものであります。調停が成立した平成23年3月におきまして、債務が確定しました。このため負債に計上できました。この間の事情をご理解いただきたい。

(意見)
 実は会計事務所の専門家にも確認したが、この会計処理は理解できないと言っていた。「特定準備金」と「特定目的積立金」。何かに備えるという趣旨こそ似ているが、会計上は負債の科目と資本の科目であり、全く正反対の位置付けである…。今回のように未払金として再度計上しないと、この通知に従ったまま、見せ掛けの資本が残っている住宅供給公社が全国にまだ残っているのだろうか。いずれにしろ、こうした会計の実態とかけ離れた経理処理を通知として発する公益法人にはあきれるが、いま当時従ったことをどうこう言うのもおかしいので、その公益法人を責めるべきだと思う。

(結論)
 住宅供給公社の18年度決算をみると、55億円の資金を県(県債管理基金)に預託している。一方で、同じ年に、県を相手方とする未収金が55億円計上されている。未収金が発生しているのに、同じ相手方に資金を預ける。不自然であることでこのお金のやりとりに注目せざるを得ない(未収金については翌年度に解消)。
 県の方は18年度決算で支出が完了しているので出納整理期間に支払ったということだが、55億円のうち44億円は「公共用地先行取得等事業債」を県が発行し借金して買っている。加古川医療センター周辺の用地。「公共用地先行取得等事業債」といえば、実質公債費比率の算定上、満期一括償還地方債として取り扱わないこととされており、実質公債費比率の算定に当面影響がない。55億円の公社のお金は余裕資金の運用といわれるが、結果として県債管理基金の積立金不足を解消し、実質公債費比率の数値を低下させる効果があることは、私がこれまで指摘してきた県の基金の問題と同じ。22年度は徳島がワースト2位になり、兵庫県は3位に改善されているが、これで他の都道府県と比較しても駄目。230億円の資金を返済するにあたり、新たに金融機関から融資を受けるか、公社債を発行しなければ返せないということは、外部へ支払う金利が発生するということでデメリットも多い。速やかに国に返済して東日本大震災のために活用してもらうとともに、ありのままの財政状況を県民に説明すべきだ。
■センターの他の資産。3月末現在で700万円弱の現金をはじめ流動資産は1億円、固定資産の2億円の企業庁に対する未収金等をふくめ3億円程度。他の資産で返済するのは難しい。
■22決算・財務諸表の注記事項 重要な会計方針の補足情報「5.芦屋浜水源負担金について」同開発にかかる負担金相当額を剰余金より未払金に振替計上。
■外郭団体の資本相当額を県債管理基金に貸し付け、実質公債費比率の積立不足に役立て、「外郭団体が解散した場合(解散価値)、資本相当額が県に帰ってくるのだから、貸付金であっても算定に入れても何ら問題がない」また「法令に禁止する規定がなく問題がない」という考えは、実質公債費比率という全自治体が共通の基準で算定している指標の信用を失わせるもので、認められない。公社としても、55億円については返済を求めるべきである。
■資本に入れたことを正当化できない理由
利益剰余金と同額の当期純損失が出たときに相殺できるのか?ゼロにはできない。なぜなら利益の中の負債分を消すことができないから。損失と、利益と称している負債分は同じ要素。
■住宅供給公社会計基準に新たに導入された「特定目的積立金」
この22年決算では、未払金に戻すときに、15億円の特定目的積立金を積み立てる会計処理を発見。住宅供給公社会計基準に定められた「特定目的積立金」とは、利益を他の目的に使われないように区分しておくためのもので、計上する場合は「当期総利益から前期繰越欠損金をうめ、なお残余ある場合において、その額の範囲内で計上できるものとする。」と規定されている。公社の22年度決算における当期総利益は1億1千万円。この基準上、1億1千万円しか積み立てられず、未払金にも1億1千万円しか計上できない。それなのにこの基準に反して15億円以上も未払金に計上している。
この基準は、特定の目的にする資本は当期利益の範囲内という常識的な考えを示したもの。本来今回のような経理処理を認めていない。
当期総利益=当期総利益(当期純利益+特定目的積立金の取崩)
■4年間、剰余金の中に全く逆の「隠れ債務」があったということである。
■特定目的積立金はゼロのままだったが、22年に突然それまでの利益の中から取崩しを実行。
■公認会計士の果たした役割
■公社に行革努力しろ。金利負担はしろ。無理。たこが足を食って自分をよくみせている。外郭団体を利用した信用創造による見せ掛けの金。
■公社の賃貸事業の収支をみると巨額の負債(とその金利負担)がなければ十分経営できる。負債が多いから資金繰りが厳しい。