県議会決算特別委員会
平成23年10月11日 竹内質問と答弁について

質問要旨(クリックすると質問の該当箇所へ飛びます)  質問通告-前日

小問・枝問 質問趣旨・その後の措置など
1.職員の残業時間について

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2.特別職報酬等審議会について

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3.県民緑税の納税者への説明責任について

新事実あり
4.(公財)兵庫県住宅再建共済基金のソルベンシーマージンについて

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5.国との人事交流と財政課長のあり方について

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質問・答弁全文


項目 質問・答弁
1.職員の残業時間について
 今年7、8月のサマータイム時に残業が減って1億円もの成果あげたとの新聞報道も。22年度の職員の残業について伺う。知事部局全体で年間いくらの残業時間があり、手当の実績はいくらだったのか?そのうち、一番長時間残業をした職員で年間何時間で、いくらの時間外手当を支給したのか?

(答弁)
  平成22年度の職員の超過勤務時間については、対象人数が知事部局の6,200人で、総時間数が90万時間、1人1ヶ月当たりでは12.2時間となっている。超過勤務手当の支給実績については、24億円である。また、最も超過勤務時間の多かった職員は年間1,100時間、1ヶ月当たりでは90時間で、支給額にして年間300万円となっている。

(質問)
 県独自の要綱「超過勤務の上限目標に関する要綱」では、月間の上限は45時間(イベント準備など特別の事情がある場合は月100時間)、年間では360時間とある。いずれも災害対応の場合は除くということだ。さらに要綱には「所属長は、超過勤務の累計時間が300時間に達した職員がいる場合には、当該職員の健康状態を確認した上で、職場の現状分析を行うとともに、超過勤務縮減に向けた対策を講じなければならない」となっている。理由があったとしても、年間1100時間は健康面でも問題で、途中で対策が講じられなければならないだろう。また、要綱には超過勤務の状況を「管理局長」に報告するという規定もある。1人だけ多いということでもないと思うが、全体の話なのか、特別な理由があったのかわからないが、知事はこの7、8月のサマータイム導入や水曜・金曜日には管理職が職場の鍵を閉めるという取り組みで残業代が1億円程度減ったことを「やる気になったらケジメがつけられる面もある」と言われたそうだが、この要綱や「300時間超の対策」が機能していたのか、また今後こうした状況を減らしていけるのか伺いたい。

(答弁)
残業時間の縮減について 長時間にわたる超過勤務は職員の健康管理面に影響を与える懸念があることから、職員の超過勤務が月100時間を超えた場合、直ちに産業医による面接指導を実施し、必要に応じて健康状態を継続的にフォローしている。 超過勤務の主な要因は大きく分けて2パターンあると考えている。一つには、近時頻発する災害対応や感染症対策など、超過勤務が不可避な危機管理事案に伴うもの、二つには、人事、庶務、予算編成、経理、施策立案、照会対応、議会などの内部管理事務に伴う超過勤務である。危機管理事案に伴う超過勤務に対しては一定の体制で臨むことが必要となるが、内部管理事務については、従来通りの事務処理や仕事のやり方を可能な限り見直す必要がある。 このたびサマータイムを機に実施した毎週水曜日・金曜日の定時退庁の徹底が一定の成果を得られたのは、総務部門自ら退庁時間を意識した仕事の進め方を行い、全庁的に職場をあげて、時間的感覚をもって業務執行に取り組んだことが要因の一つではないかと考えている。

 超過勤務の縮減については、これまでから「超過勤務の上限目標に関する要綱」の周知徹底を図りつつ、@行革プランに伴う全庁的な事務改善、A研修を活用した職員の意識改革、B管理監督職による適切な業務の進行管理の徹底、など様々な取組みを行っている。今後ともこうした取組みを進めながら、サマータイムで培った時間的感覚を意識することで、効率的かつスピード感のある仕事のやり方に努め、時期による繁閑の差というものはあるものの、年度後半も超過勤務の縮減に取り組んでまいりたい。
1ヶ月あたり 1100÷12ヶ月=91.66時間
週5日として割れば毎日5.45時間。県職員としては考えられない時間である。

私も民間企業のサラリーマンの経験がわずかだがある。月100時間近く残業をしたことがある。かなりしんどかったことを覚えている。翌月すぐに本社の管理職から電話がかかってきて、すぐに指導を受けた。指導と言っても早く帰ったことにしろという指導だった。その後は、入社一年目なのに管理職となり、定額の管理職手当となって何時間残業しても誰も何も言わなくなった。その後、問題が指摘され、その職は現在は非管理職に変わった。

2.特別職報酬等審議会について  特別職報酬等審議会については、「審議会は、知事の諮問に応じ、議会の議員の議員報酬の額並びに知事及び副知事の給料の額に関する事項を審議する」と規則で定められているが、県のHPには、特別職報酬等審議会(休止中)となっている。前回いつ開催され、その結果がどうであったのか教えてほしい。

(答弁)
 特別職等報酬審議会については、前回、平成4年度に開催し(4月16日、5月12日、5月18日)、一般職の給与の推移及び類似府県の状況等を考慮し、知事の給料は改定前の125万円から141万円に、議員の報酬は改定前の82万円から93万円に、改定は平成4年5月から、などと答申をしている。これを受け、答申どおり、平成4年5月1日から改定を実施している。 

(質問)
平成4年5月1日の改定から18年。審議会の次回の開催の予定は?

(答弁)
知事の給料は、平成12年度から、行財政構造改革の取り組みとして、条例本則より10%カット、平成20年度からは20%のカットを行っている。 平成12年度から、行財政構造改革に取り組んでおり、行財政構造改革推進方策については、その策定、改定にあたり、行財政構造改革審議会、行財政構造改革県民会議、パブリック・コメントを経ている。この中で、知事等の特別職の給料も取り上げていることから、特別職の給料についても、一定の評価を受けていると考えている。 行財政構造改革に基づく特別職の給料の減額は、現在も引き続き取り組んでおり、改めて、特別職報酬等審議会を開くかどうかは慎重に検討してまいりたい。

(意見)
行革により知事の給与、議員報酬等については独自に削減しているが、条例は知事と議会で決めることができる。18年間も第三者の評価を受けていないのはどうなのか。職員の給与は民間の給与等により毎年改定されている。

 私は知事の給料はその責任の重さと比較して、高いとは思っていない。高低ではなく、第三者の評価を受けることが大切だということである。議会の方も年金を廃止した。財政負担はかなり減少したと思うが、ただ削減したからいいというものでもない。こうしたことを有識者にきっちり考えていただく場である。

■特別職報酬等審議会にかかる常勤の特別職、知事等の給与になぜ地域手当が含まれるのか?という点も疑問としてある。知事(や副知事)は、物価等の異なる地域に住む一般職員のように地域手当によって地域ごとの給与水準の均一化をはかる必要が全くない。給料に組み込み合算して改訂すべきである。特別職報酬等審議会の答申は物価(住居費)等も踏まえて答申するもので、次期開催時にはそうしたこともあわせて改めるべきだと意見を申し上げておく。
■地域手当=地域における物価等を考慮し、一定の地域に在勤する職員に支給される手当である。複数地域に拠点を構えるような企業の従業員に対して支給される場合が多い。
例.大阪府、静岡市長、千代田区長の事例
千代田区報酬審答申内容(1)報酬等の額の定め方について  区長及び副区長に支給されている「地域手当」は廃止する。なお、従前の額との均衡を失しないように所要の調整措置を講じる。
■附属機関設置条例(知事の附属機関の設置)
第1条 法律又はこれに基づく政令の定めるところにより置かなければならないもののほか、次の表のとおり知事の附属機関を置く。特別職報酬等審議会 議会の議員の議員報酬の額並びに知事及び副知事の給料の額についての審議に関する事務
■兵庫県特別職報酬等審議会規則
第1条 この規則は、附属機関設置条例(昭和36年兵庫県条例第20号)第3条の規定に基づき、兵庫県特別職 報酬等審議会(以下「審議会」という。)の組織及び運営に関して必要な事項を定めるものとする。(所掌事務)第2条 審議会は、知事の諮問に応じ、議会の議員の議員報酬の額並びに知事及び副知事の給料の額に関する事項を審議する。
3.県民緑税の納税者への説明責任について   サラリーマンなど源泉徴収される給与所得者(特別徴収)に対しては、給与明細のほかに、徴収する市町・自治体から、「市(町)県民税額の(特別徴収税額の)決定通知書」というのが5月に年一回配布されている。給与明細では、県と市町の税は一括して住民税として徴収されその内訳はわからないが、「市(町)県民税額の(特別徴収税額の)決定通知書」では県民税がいくらかわかるようになっている。
 そんな中で、県では平成18年から県民税均等割額を地方税の年1000円から県民緑税としてもう800円を超過課税をする5年間の時限措置をはじめた。そして昨年、条例を改正し、今年度から5年間延長した。私も賛成したが、その審議の際に聞いたが、県民緑税については私の周りでは知っている人がほとんどいなかった。1年間で個人から約20億円(法人から約4億円)を徴収し、森林や都市の森の保全と再生のために使われる目的税的な貴重な財源なのに、払っている人はほとんど知らない。これはまずいと思った。

 実は、平成18年度、始めて導入した年の姫路市から発行された同決定通知書には、その裏面の説明書きに「均等割 県民税1,800円 「県民緑税」の導入により、県民税均等割が改正されました。県民税均等割のうち、800円は、森林や都市の森の保全と再生のために使われる「県民緑税」です」とあった。一定の説明責任を果たしている。しかし、翌19年以降、その記載がなくなって、「均等割 県民税1,800円」としかない。新しい納税者は払っていることを知らない。県民緑税は課税自主権を活用した兵庫の超過課税なのだから納税者に対する説明責任を果たす観点から、18年同様に毎年、県民緑税の説明を記載すべきだと思うし、通知書を発行する市町に求めるべきだと思うがどうか?

(答弁)
3 県民緑税の納税者への説明について 県民緑税は、県民共通の財産である「緑」の保全・再生を社会全体で支え、県民総参加で取り組む仕組みとして、平成18年度から導入したものであり、県民税均等割の超過課税により、個人の方には個人県民税均等割の年額1000円に800円を、法人の場合には10%を上乗せして負担をお願いしているものである。
 何よりも実際にご負担いただく納税者の方に直接説明する意味で、委員ご指摘の個人住民税の特別徴収に係る決定通知書及び普通徴収に係る納税通知書に県民緑税について記載することは、大変重要かつ効果的なことである。 こうしたことから、県としましても、市町に記載文案を示すなどして県民への周知をお願いしているところであり、ほとんどの市町においては、通知書の限られたスペースの中で工夫して記載していただいているが、姫路市、伊丹市、篠山市及び丹波市の4市においては、記載いただいていない。 通知書の様式や記載内容については、最終的には、賦課徴収を行う各市町で定められるものではあるが、特に通知書への記載を改めてお願いするなど、市町と連携を図りながら、県民緑税の周知に取り組んでまいりたい。

(意見)
 自営業者など普通徴収の方には記載されており、サラリーマンなど特別徴収、いわゆる源泉徴収の方でかつ県内では姫路市、伊丹市、丹波市、篠山市ですか。大変恥ずかしい質問をしてしまいました。しかし、市が発行する通知とはいえ、県民税も法的に一緒に徴収するのだから説明責任を果たしてもらわないと。私は市民税の納税者でもありますから、これについては記載するように市にも求めていきたいと思います。

姫路市の税額通知書(納税義務者用)の配布
 毎年5月中旬以降に税額決定通知書等を送付します。同封されている「給与所得者等に係る市民税・県民税特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)」を納税者ご本人に配布してください。
4.(公財)兵庫県住宅再建共済基金のソルベンシーマージンについて  (公財)兵庫県住宅再建共済基金は平成17年9月スタート。県民が助け合う「共助」という大変素晴らしい取り組みである。加入者は、23.3末現在で、住宅140,882戸、家財33,283戸(同。初年度)である。

 事業開始から約6年で共済給付金基金積立資産は22末現在で26億7千万円(21−21億円、20−17億円)(共済の支給実績としては)21年度の台風9号。22年度にかけ206戸3億2,920万円支給した。そこで積立資産26億7千万円の運用先を見てみると、うち1億3千万円を短期国債、約3500万円を預金、残る25億円を兵庫県債。全体では運用資産総額31億、負債3億、正味資産28億と他の財団と比べると、かなりいい財務体質である。
 しかし、他の公益法人と違うのは、共済加入者の共済支払が予期せぬかたちで現実になる。これは消費者の立場からみれば保険会社と同じということ。保険と見れば一般の組織とは別の基準がある。民間の保険会社であれば、通常の予測を超えるリスクに対して、保険会社にどの程度の保険金の支払い余力(余裕資金)があるかを示す指標として金融庁ではソルベンシーマージン比率(保険金支払い余力比率)を使っている。消費者は保険会社を選択する1つの指標としているが、この共済にこうした健全性を客観的に示す指標はあるのか?

(答弁)
 ソルベンシー・マージン比率は、生命保険や損害保険を行う民間保険会社の支払余力を示す指標として設けられており、監督当局が行う改善命令等の発動基準となっている。 一方、巨額の保険金支払いの可能性がある地震保険は、民間損保会社の再保険を日本地震再保険株式会社が引き受け、さらに、再々保険によって政府が保険責任を分担する制度となっており、日本地震再保険株式会社は、その事業形態が特殊であることから、ソルベンシー・マージン比率が適用されていない。 兵庫県住宅再建共済制度は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、県条例により創設した制度であり、県の信用を基礎としているため、地震保険の例を勘案しても、一般の民間保険会社と同列に、ソルベンシー・マージン比率で支払余力を判断することは適切ではないと考えており、共済制度に対応する同様の指標は設けていない。

(質問)
 この比率が200パーセントを超えていれば安全と見なされる。家屋に限っていうが、加入者の全戸が全壊し、全員が県内に再建で600万円を請求した場合
 140882件×600万円=8453億円
 東日本大震災ではないが、「想定外」のことも想定しておかなければならないと知事も言っている。万が一、現在の基金で支払が難しくなるような規模の大震災が起こったとき、万一当面の資金が足りなくなったときなどに、兵庫県としては、支給が満額できるような資金手当や財政支援をするつもりがあると思うし、しなければならないと思うが、この共済基金の「想定外」の危機の時の支援についてどう考えているのか?

(答弁)
 本制度は、県民の共助の仕組みを、県が運営することにより、共済加入者の保護と制度の安定性・安全性の確保を図っている。 具体的には、大規模災害の発生により、一時的に、共済積立金が不足する場合には、条例の規定により、県が損失補償をした上で、住宅再建共済基金が、金融機関から所要額を借り入れ、将来の共済負担金収入で返済していくことを予定している。 今後とも、県が運営する安全・安心な制度であることを積極的にPRし、加入促進に努めたい。

(意見)
自治体の破産法制が定められていない現在、県が財団の借入に対して損失補償をするという条項が条例にあるのなら、「安心」であることを率先してPRしておくべき。

【ソルベンシーマージン比率】 《solvency margin支払い余力の意》
通常の予測を超えるリスクに対して、保険会社にどの程度の保険金の支払い余力(余裕資金)があるかを示す指標。平成8年の改正保険業法に基づいて導入。この比率が200パーセントを超えていれば安全と見なされる。

■5年弱で約27億円の積立。うち25億円を兵庫県債で運用。兵庫県本体が被災すれば、すぐに換金できるか。県の保障。今回の台風被害でも支払実績はそんなに多くない。1年掛け捨てのためかなり基金が残っている。家屋再建に至らない小規模災害には大変強い保険。
■財団の「22事業報告書」共済給付金基金の資金管理については、上記台風9 号災害に係る給付の事例や状況も踏まえながら、今後の自然災害における給付に備え、これまで以上に機動的な対応ができるよう留意し、短期運用に際して満期時期の分散等の措置を講ずることとした。
■積立金の管理・運用共済負担金を原資とし、共済給付金に充てるための資金は、平成23 年3月末現在で、31 億3,164 万円余を積み立てている。この積立金の運用は、平成23 年3月14 日に資金運用委員会を開催し、安全かつ確実を基本として有利な運用に努めることとしており、中・長期資金は県債で運用し、給付金の支払に要する当面の資金は大口定期預金、国庫短期証券等で運用している。
■「短期運用に際して満期時期の分散等の措置を講ずる」。資金運用委員会「中・長期資金は県債で運用し、給付金の支払に要する当面の資金は大口定期預金、国庫短期証券等で運用」の記載あり。[平成23年3月31 日現在]運用資金総額3,131,641 千円県債運用2,500,000 千円大口定期預金40,000 千円(10,000 千円×4 金融機関)国庫短期証券479,870 千円決済用預金111,771 千円
■兵庫県全体が大きな被災を受けたときのリスク管理、現金化の観点から、兵庫県債の運用比率をもう少し低くして分散投資をしておいた方がいいのでは(再保険者の株を大量にもっておくのと同じこと)。専門の外部委員はこうしたことを助言すべきでは。
実質的な保険・共済機能を有するが、県や議会のチェックはあるものの専門の金融庁等によるチェックがない。県の関与も一般の出資法人と同じ出資者、認可者としての権限しかない。共助といういい取り組みだが、資金運用、支払リスク等についてディスクロージャーを金融機関並みにするなど準備もおこたりなく。
■地震保険(財務省大臣官房政策金融課 地震再保険係)
政府の再保険○ 地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任を政府が再保険し、再保険料の受入れ、管理・運用のほか、民間のみでは対応できない巨大地震発生の際には、再保険金の支払いを行うために地震再保険特別会計において区分経理しています。 地震保険の概要○ 地震保険は地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失による損害を補償する地震災害専用の保険です。 ○ 火災保険の保険金額の30%〜50%の範囲内で地震保険の保険金額を決めることが可能です。ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度です。 ○ 地震保険の対象は居住用の建物と家財です。 ○ 火災保険では、地震を原因とする火災による損害や、地震により延焼・ 拡大した損害は補償されません。 ○ 地震保険は、火災保険に付帯する方式での契約となりますので、火災保険への加入が前提となります。地震保険は火災保険とセットでご契約ください。すでに火災保険を契約されている方は、契約期間の中途からでも地震保険に加入できます。 ○ 地震保険は、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任の一定額以上の巨額な地震損害を政府が再保険することにより成り立っています。 地震保険の補償内容○ 居住の用に供する建物および家財(生活用動産)。
5.国との人事交流と財政課長のあり方について  .財政課は、県の予算を所管し、実際の各部局の査定を行ったり、また県の財政全体にも目を光らす。国でいうところの財務省の主計局であり、それに加えて我々県議会まで担当している。大変な部署である。その財政課の責任者が財政課長である。

 今日の決算委員会でも歴代の財政課長も、何人か座っておられるが、歴代の財政課長について調べさせていただいた。近年では、私の当選した平成19年から総務省から出向していた小谷さん、20年は太田さん(管理局長)、21年は西上さん(企画財政局長)、22年は再び総務省からきた田中さん、今年は田中さんの予定が、総務省の都合による人事でこの9月9日から県の谷口さんが就任された。国と県の人がちょうど半分ずつぐらい。総務省の方は別の部署に最初に来て少ししてから財政課長になるようだ。国の建前は、全て地方からの要請で職員を派遣していると国会でも答弁している。昨年8月の調査では、1999年以降最多、国から地方へ1666人(うち都道府県へ1220)が出向しており、一方、地方から国へ1996人(1813)と地方からの出向のほうが多い。

 しかし、都道府県に限っても地方に課長級以上で513人が来ているのに対し、地方からは課長以上はゼロ、室長級で2人[消防大学校の副校長(東京都)、国土交通省苫小牧港湾事務所長(北海道)]が出向しているだけ。今回の決算審査を前にしての突然の異動は民主党の内閣交替によるものと聞くので、天に唾する話だが、県の財政課長として出向している職員を呼び戻す。地方重視ではないことも明らか。このことを含めて何のために総務省から出向してもらっているのか?兵庫県には財政課長を務められる人材が多数いると思うがどうか?Q.知事は分権を主張しているが、分権時代に相応しい人事交流を考えるなら、財政課長は県職員に求めたいがどうか?

(答弁)
国との人事交流は、職員の幅広い能力・経験の活用、国との円滑な連携などを目的に実施しており、国からの交流職員はその経験等をもとに、能力を生かせるポストに配置している。 また、国との人事交流にあたっては、国から県だけでなく、県から国へも職員の交流を行うことにより、全体として双方向となるように努めている。国の職員が地方の現場を、地方の職員が国の業務を、それぞれ経験することにより、長い目で見れば地方分権に役立つものと考えている。 財政課長は、予算編成など県の財政運営の要であり、県の各部局の施策に精通していることや地方行財政制度への深い理解が求められる。ただ、県の財政運営にあたっては、国の予算や地方行財政制度の最新状況の把握が必要であり、一定、総務省の地方行財政部門出身者の能力及び経験を生かすこともできるものと考えている。 人事配置の基本は、適材適所が原則であり、国出身職員であれ、本県プロパー職員であれ、その職員が財政課長に相応しいかどうかということを基本に、人事異動を行っていきたいと考えている。

今回そうなったのは結果的にいいことである。

(意見)
 大変重要であるだけでなく、実際の予算査定等を通じて県政全体について大変勉強になるポジション。このポストを2、3年で国へ帰ってしまう人に敢えて任せる必要は何か。昔は、大卒の採用等もほとんどなく、仕方なく国に人材を求めた歴史もあったと聞く。しかし、今は違う。私も先ほどあげた県プロパーの財政課長の方々と予算、決算、総務の各委員会で議論してきたが、国会でも十分通用する「ああいえばこういう」というような人ばかりで、私の期待するような答弁はしてくれないが、皆さん県の施策に精通しており優秀だということはわかった。

このポジションを経験することで県政の枢要を担う人材が育つし、県全体のあらゆる課題に精通した上で予算査定等を行うには、一定の兵庫県政での経験も必要だと考える。財政課長こそ外部ではなく兵庫県職員が担当すべきポジションだと考える。 財務省の主計局の話をしたが、主計局長を財務省以外の人が務めさせるだろうか。現実にはありえない。
■年齢の不均衡も。歴代の財政課長をみると、早い方で46歳、遅い方で50歳。これは生え抜き職員に限ってのことで、出向の総務省の方は37、8歳と10歳以上若い。
■地方出向増は、政権交代による外郭団体への出向・天下り枠が減少も一因
■(藤原良信参院議員国会議事録まとめ)
 都道府県で独自に上級職員、四年制大卒者を採用するようになったのは昭和二十年代の末から三十年代の初めのころにかけてだということで、昔は幹部候補生を自前で調達することができる環境ではなかった。国から地方への官僚の派遣は、人事を通した地方支配として位置付けられ、機関委任事務、補助金と並んで、日本が中央集権国家であることを示す象徴的な仕組み。 地方が出向を受け入れる利点は中央省庁とのパイプを期待をする、あるいは補助金の獲得に関してそのパイプ情報は大変役立つということ、あるいは外部から優秀な人材を入れることによって組織を活性化することもある。しかしながら、今日、自前の人材もそろってきていること等、人材の補てんの目的という重要度は低下し、むしろ生え抜き職員のモラールを低下させるおそれの懸念が私はあると思う。