県議会決算特別委員会
平成21年10月13日 竹内質問と答弁について


決算特別委員会の質問と答弁をまとめましたので公開します。

◆議事録の公式速報版も公開されるなど少しずつ公開までのスピードが速くなっています。


質問要旨(クリックすると質問の該当箇所へ飛びます)  質問通告-前日

小問・枝問 質問趣旨・その後の措置など
1.実質公債費比率について
(1)県債管理基金(減債基金)の積立不足について
(ア)本来積み立てておくべき基金金額と現実の19年度末の基金残高
(イ)積立不足金額と積立不足率
(ウ)実質公債比率(単年度)への影響
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(2)19年度末の現実の基金残高について
(ア)土地の基金算入の確認
(イ)物品(美術品)の基金算入の確認
(ウ)その他の現金以外の基金算入の確認
新事実あり
報道あり

[神戸・朝日・読売・毎日・産経1013〜1015]
(3)基金残高のうち現実に県債償還に充当できる金額について
(ア)再計算の必要性(現金化可能な資産のみ基金の算定に使うべき)
(イ)監査委員の意見
(ウ)早期健全化団体となる可能性

(4)地方分権の流れへの影響について
新事実あり
2.新行革プランについて
(1)財政フレームの見直しについて
(ア)税収不足
(イ)補正予算
(ウ)政権交代

(2)歳出削減へ向けた更なる取組みについて
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質問・答弁全文

[ 田中決算予算特別委員長の指名により質問]
民主党・県民連合、姫路市選出の竹内英明でございます。よろしくお願いします。


項目 質問・答弁
1.実質公債費比率について

(1)県債管理基金(減債基金)の積立不足について

(ア)本来積み立てておくべき基金金額と現実の19年度末の基金残高

(イ)積立不足金額と積立不足率

(ウ)実質公債比率(単年度)への影響
 ○(竹内英明 委員)  それでは、決算委員会、民主党の竹内英明であるが、冒頭、民主党のトップバッターとして質問させていただく。
 通告に基づいて質問させていただくが、大きく分けて二つ分けているが、このたびは実質公債費比率について、少し細かい点まで含めてお聞かせいただきたいと思う。
 この実質公債費比率というのは、大変重要な財政指標の一つであるが、起債に係る地方債の起債が許可制から協議制へ移行する際、これは平成17年の決算から導入された指標である。本県は、20年度決算でも実質公債費比率19.9%と、全国47都道府県の中で北海道の22.3に続いてワースト2という答弁、先ほどもあった。これは、そもそも自治体の借金である県債の償還に幾らかかったかを公債費というわけであるが、その公債費のほかに県債の将来の償還に備えた貯金に当たる減債基金、本県でいうと県債管理基金であるが、この積み立て不足の状況などを加味した財政負担の度合いを判断する指標である。

 この実質公債費比率が18%以上となると、地方債の起債に当たり、総務大臣の許可が必要となり、さらに25%以上の団体となると、早期健全化団体に指定をされて、一定の地方債の起債が制限される。また35%以上となると、北海道夕張市と同じく国の管理下で財政再建を行う財政再建団体となって、これはまたさらに厳しい規制がかかることになる。

 この夕張市の事例を思い起こすわけであるが、決算上、なかなかわからない、この1年の間に貸し借りを済ませる、これは一時借り入れ、こんな方法などを使うなどして赤字の顕在化というのを先送りしてきた、その市議会というものが、その間の予算、決算の審議を通じて全くノーチェックだったということも、これ市民の皆さんから強く批判されていた。専門家ではない兼業の議員というものが、なかなか公表された資料だけでわかったのかな、私は非常に難しかったんではないかなというふうに思うが、それほど決算書というのは専門的というか、難しい内容があるのも確かである。

 この財政再生団体は、北海道夕張市だけであるが、この25%以上の実質公債費比率となる、これは早期健全化団体となるわけであるが、この実質公債費比率が25%以上を超えて19の市町村がこの早期健全化団体となっている。本県でも香美町が入った。この重要な指標である実質公債費比率の算定に当たっては、県債を返すために積み立てておく県債管理基金、ここに積み立て不足がある場合に、その不足額は一般財源でいずれ負担する必要があるために、その一定額を実質公債費比率の算定にペナルティーとして反映させることになっている。
 そのあたりも含めて、この県債管理基金についてまず質問をしたいというふうに思う。

 本来、積み立てておくべき基金の金額と現実の19年度末の基金残高ということであるが、この実質公債費比率の県債管理基金の積み立て不足を算定するに当たって、本来、積み立てておくべき基金金額と現実の19年度末の基金残高というのが現に幾らなのか、まずこれをお聞かせいただきたいと思う。

○(西上財政課長)  実質公債費比率の算定上に用いるあるべき県債管理基金の残高であるが、19年度末で4,498億円である。
 一方、実際の基金残高は1,866億円となっているところである。

○(竹内英明 委員)  ありがとうございます。4,498と1,866と、差し引きすると2,600億円余りが積み立て不足ということであるが、計算するとこれ不足率は58.5。実際のこの指標のペナルティー算定に当たっては、満期到来の一括債の実質償還部分というものに不足率を掛けて県債管理基金の積み立て不足に対する、これ金額を加算するわけであるが、実際の不足率と実際に県債管理基金の積み立て不足に対する加算というのが、現実にこのたびの指標で幾らになったのかお伺いする。

○(西上財政課長)  まず、減債基金の積立不足率であるが、58.5%である。
 また、この積み立て不足に伴う加算額については、565億円である。

○(竹内英明 委員)  この565億円という金額であるが、昨年度の加算分より224億円ふえている。この565億円というのは基金への積立不足加算で、単年度の実質公債費比率は21.0%だと思うが、何%ぐらい上積みになっているのか確認したいと思う。

○(西上財政課長)  減債基金の積み立て不足に伴う加算がある関係上6.5%、結果として実質公債費比率を押し上げていることになる。
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(2)19年度末の現実の基金残高について

(ア)土地の基金算入の確認

(イ)物品(美術品)の基金算入の確認

(ウ)その他の現金以外の基金算入の確認
 ○(竹内英明 委員)  21%のうち6.5%というと大変影響が大きい、この積み立て不足に対する加算であるが、現実には1,866億円は基金を積んでいるということであるが、念のため、この1,866億円の内容をこのたび調べさせていただいた。そうすると、この基金の内容に適した、例えば現金とか、運用先としての有価証券、こういったことは私もわかるが、例えば土地が91億円、物品が31億円、貸付金387億円、このようなものも含まれていた。

 平成18年度に他の基金から移管したようであるが、当時の県議会の議事録を見ても、この内容の議論はなかった。そこで、この土地というものを、この県債管理基金に含めている問題、これについて少し確認をしたいと思う。

 内容は、土地の面積は61万2,652平米、これは帳簿価格に換算をして、約91億円で基金に積み立てて、そしてこの実質公債費比率の指標の算定にも含まれているというふうに思うが、具体的にその61万平米の土地を見ると、大きく分けて11ヵ所、例えば神戸市、この県庁の近くであるが、下山手通5丁目7の1番地他、これで396.58平米、これは宅地であるが、土地の価格として16億1,200万円、これは割り算をすると1平米約400万円である。

この土地を基金に積んで、そして積み立て不足を回避するということであったならば、例えばすぐ売れるんだということ、こういうようなものが一定の条件になるんではないかと思うが、この近くに国交省の地価の公示地点があって、これは今年の地価は1平米当たり38万9,000円、約40万円であった。本県が400万円で算定をしているのに、国は40万円だと。時価換算すると10分の1ということになるわけであるが、こういった土地11件、帳簿価格に直すと11億1,490万円というものを本当にこの県債管理基金に加えて指標の算定に含めているか、この事実の確認をさせていただきたいと思う。

○(藪本資金公債室長)  ご指摘の神戸市中央区下山手通5−7−1ほかの土地については、平成18年度に県の各基金を県債管理基金に集約した時点で、土地基金が保有していたものであり、現在、県債管理基金の残高に算入している。

○(竹内英明 委員)  私が先ほど申し上げたが、実はこの1件を含む6件の6万8,000平米、約56億円というのは、実はこの平成15年に土地開発公社が持っていた塩漬けの土地というものを、県の先行取得用地総合対策として買い取ったものである。私、土地開発公社の問題については、たびたび申し上げてきたが、土地を購入する際に、金融機関から借り入れをして、その金利分がすべて簿価に算定されるということがあって、実際、時価の10倍にもなろうとするような価格に上がっている。それが一つ問題だと思うが、それを、かつこの基金、県債の償還に充当できる可能な基金の中に土地現物を含む、これは少し問題があるというふうに思っている。

 順次、ほかにもあるので申し上げるが、物品というものも基金に入っていた。私、これは土地よりもよほど問題が大きいと思うが、物品というのは何か、これは美術品ということであった。これについても、31億円、基金の中に入っている。版画648件、日本画、洋画、彫刻、写真、全部で1,037件で約31億円である。

この内容であるが、平成17年度以前に購入された美術品で、例えば高額なもので、県立美術館のエントランスホールに展示中のナウム・ガボさんというのか、「構成された頭部No.2」これ簿価2億2,575万円、同じく美術館の屋外に固定設置されている彫刻、ジョージ・リッキー、「上を向いた2本の線−30フィート」これが1億4,595万円。後者については、美術館と一体的に整備されているものであるから、私は第三者に売却できるものではないんではないか。これを含めてすべて31億円、美術品取得額そのままで入っているようであるが、もう取得処理が既に終了して、美術品等取得基金にもともと含まれていたもので、別の第三者に売り払うことができない、できれば現金化できるわけであるから償還に充てられるわけであるが、売却する意思がないのならば、私はこの県債管理基金に入れておくのは、やはり土地以上に問題があるんではないかなというふうに思う。

 これで基金の不足を埋め合わせすることというのが、この実質公債費比率という指標の性格上、認められるのか、本当にこの算定に使っているのか、この点をお聞かせいただきたいと思う。

○(西上財政課長)  ご質問の美術品についても、先ほどの土地と同様、県債管理基金の残高としてはカウントさせていただいている。あったように、現金化することについてはなかなか難しい、これについては承知をしているが、これは基金の財産として資産価値があるものである。例えば、先ほど例示で言われた美術館のものについては、例えば美術館の整備にあわせて県が買い取るというような工夫もできる。また、若干工夫は必要であるが、例えば資産運用の一つとして公営企業であるとか、県の関係団体の方に一時的に購入を願う、こういうようなことも想定できるところである。

 したがって、現金化は若干難しいということはあるが、全くできないということは考えていないところであるので、そのようにご理解いただきたいと思う。また、問題点があるということについては、今後の参考とさせていただきたいと思う。



○(竹内英明 委員)  ご答弁ありがとうございます。実は、もう第三者から買っている。それで屋外展示したり、もう実際、現に我々も見させていただいている。現金化できないものを入れて、かつほかのものからお金を入れるということは、お金はどこかが足りない部分であるから、これは算入してはいけない。後ほどまた申し上げる。

 それで、土地、美術品と来て、次に貸付金といくわけであるが、この貸付金383億円、内訳というのは土地開発公社が32億円、県内の市町に34億円、旧北摂開発事業特会、企業会計への320億円、ここではその320億円の旧北摂開発事業特会についてのものについて、少しお伺いしたいわけであるが、実は総務省令というのがあって、この基金の積み立て不足を計算する際に、年度を超えて一般会計または特別会計に貸し付けられたものの額がある場合については、当該額を基金残高から控除すると、このように記載をされている。これは旧北摂開発事業特会で、現在は企業会計に移管されているということであるが、実質公債費比率の算定からは、これ除外をされてない。

 私は、いろいろ繰りかえ運用であるとか、これは単年度でやっているから、もしくは企業会計は特会の一部という理解、私はそうしているが、そうじゃないとおっしゃるのかわからないが、この320億円というのもやはり算定に含んではちょっとまずいんではないか、このように思うわけである
が、この点はいかがか。

○(藪本資金公債室長)  ご指摘のあった貸付金であるが、委員からご紹介あった地方債に関する省令第3条第2項については、考え方として、将来的に一般会計の負担となる可能性のある貸付金については地方債償還財源として算定することがふさわしくないということから、実質公債費比率を算定する際には減債基金残高から控除するという趣旨の規定であると考えている。

 ご指摘の企業庁に対する320億円の貸付については、公営企業である企業庁の保有資金等の状況から考えて、一般会計への償還、すなわち現金化が可能なものであるため、減債基金残高から控除していない。

○(竹内英明 委員)  ありがとうございます。他府県の方が今の話を聞くと、これはちょっと違うなとおっしゃると思う。しかし苦しいなという、私もすぐわかった。

 その貸付金についで、有価証券というのもある。この際であるから有価証券についてもお伺いするわけであるが、有価証券は878億円と、県債管理基金の1,866億円の半分ぐらいを占めている。内訳は国債が20億円、兵庫県債が465億円、他団体の地方債が35億円、株式が222億円、利付金融債が135億円、このうち私が少し気になったのは、やはり兵庫県債465億円、これも多額である。県債管理基金というのは一応独立はさせているが、兵庫県本体の資産であって、兵庫県本体が兵庫県債を持っておって、これをどう評価するのか、これは少し議論が分かれるところだと思う。

 例えば企業であるならば、株式を自己保有していたならば、これは金庫株であるとか、そのような扱いになるわけであるが、この兵庫県債465億円というものを、この基金が保有した経緯というもの、繰り上げ償還とか、そんなことがあるかもしれない、少しわからないのであるが。それとこれは一般会計から見れば、これは借金に当たる、バランスシート上いわゆる負債になるわけであるが、算定ルール、先ほど申し上げたとおり、一般会計に対する基金からの貸し付けというような扱いとするならば、これは除外するのが一つの見識ではないかと思うわけであるが、この指標の算定に加えている理由も経緯とあわせて教えていただきたいと思う。

○(藪本資金公債室長)  県債管理基金が保有している兵庫県債の関係であるが、県債管理基金でまず保有している兵庫県債は、平成19年度末で約465億円あって、そのうち集約以前のもともとの県債管理基金の運用として購入していたものが228億円、集約した基金で購入しているものが237億円となっている。

 また、基金による地方債の所有であるが、基金が兵庫県債などの地方債を保有することは、安全かつ有利な運用であって、また満期前であっても債券の売却により現金化できるということから、実質公債費比率算定に当たり、基金積立額に含めることについては何ら問題はないと考えている。

 なお、基金による兵庫県債の購入というものは、安全かつ有利な資金運用という側面だけではなく、債券流通市場における兵庫県債の需給改善にも寄与し、ひいては新規発行する際の条件改善につながるということから考えると、資金調達の面における効果もあると考えている。

○(竹内英明 委員)  条例上もこの県債で運用するということは違反になっていないので、これはより厳しい指標をとるとするならば、負債と考えれば、現金が一般会計でなくなるわけであるから、それは考えの分かれるところだと思う。
 
今回の基金調査に際し、参考にした「平成18年度の各種基金を統合した際のやりとりが報道されている神戸新聞071106」
基金の動きがわかる「基金運用状況説明書(平成18年度)」
地方公共団体から寄せられた質問「県の市町村に対する貸付金」等に対する総務省の見解(PDF)(平成21年9月28日現在)

(3)基金残高のうち現実に県債償還に充当できる金額について

(ア)再計算の必要性(現金化可能な資産のみ基金の算定に使うべき)

(イ)監査委員の意見

(ウ)早期健全化団体となる可能性


(4)地方分権の流れへの影響について
  それでは、今、私が逐次申し上げてきたことが現実に基金の残高として、現実に県債償還に充当できる金額というのは幾らなのか、美術品は難しい、私なんかは先ほどの県債もこれは減じて考えるべきではないかというふうに思うわけであるが、このたび、私、質問するに当たって、いろんな方に、財政に詳しい方にも聞いたが、なかなか特に美術品というもの、もしくは土地というものを減債基金、県債管理基金の中に含めるというのは、これはちょっと考えられない、このような解釈をする人ばかりであった。

 しかし、私も法令を調べたが、そうした点についての記載はない。つまりは明確に法令に違反しているかといえば、これはそうとも言えない。その点で今までのご答弁があったと思うが、しかし私は、これは法の想定を超えた問題ではないかなというふうに思うわけである。

 例えば、実質公債費比率と同様の指標である将来負担比率、これの算定に当たっては貸付金の扱いなどで、例えば明確な指針が総務省令として出ている。例えばこの地方債の償還額等に充当可能な基金としては、現金、預金、国債、地方債及び政府保証債等として保有しているものとする、これは明確になっている。
 また、基金のうち貸付金として運用されているものについては、充当可能基金の対象外とされ、例えば基金を市町村等に対する貸付金として出している場合、市町村はつぶれないが、こういった地方公共団体に貸し付けていても償還されて初めて将来負担額に充当することが可能であるものから充当可能基金の対象としない、このように総務省のQ&Aに明確に記載をされている。
 実は、兵庫県でも今年度の将来負担比率の算定については、先ほど申し上げた話のように、土地開発公社に対する県の貸付金38億円というものを、この基金額から除外をして算出している。同じ法に基づく財政指標でありながら、将来負担比率では充当可能な基金でなくなって、実質公債費比率では、土地開発公社に対する貸し付けというのはそのまま基金に含まれている。同じ法律で別々というのは、やはり少しわかりにくい。私は、これは将来負担比率だけではなくて、実質公債費比率の算定についても当然に適用されるべき原則ではないかなというふうに思うが、先ほど申し上げたとおり、この県債管理基金、いわゆる減債基金に美術品とか土地、こういった貸付金、こういったことが入るということも、やはり国がそもそも想定していなかった、このように推測をするわけである。
 いずれにしても、県債を少しずつ返していくというものではなくて、満期一括償還というものを前提に本県が震災復興を初めとして、財政運営をしてきた経緯は私は理解はするが、財政指標については、各都道府県が同じルールのもとで公平に算定されて、数値化されて初めて意味があるものであると私は思っている。本県の財政状況では一気にはできないと思うが、美術館に固定設置されている彫刻など、もう明らかに取得価格で現金化できない美術品をこれも基金だと、今後も基金として頑張る、こういうようでは県民の皆さんからも疑問を持たれるというふうに思う。こういった指標を公表しても信用されない。私の意見や将来負担比率の算定で示された原則を初め、会計上適当と思われる方法で算定方法を見直す必要があると思うがどうか、よろしくお願いする。

○(西上財政課長)  まず将来負担比率であるが、これは平成19年度決算から導入された指標である。地方財政健全化法の制定の契機となった、いわゆる夕張市の財政破綻を踏まえて、普通会計だけでなく、公社等も含めた連結ベースでのストックの財政状況を評価しようとするものである。この趣旨は、いわゆる地方公共団体を破綻させない、早期に健全化に取り組ませる、こういうような目的を持ってつくられた指標であるので、公債費を含めた将来負担額が地方団体の償還能力に対して適正な範囲であるか、これらを厳格に算定することを求めている。
 したがって、公債費の償還財源についても、いわゆる減債基金に限らず、国が指定している法令設置の基金を除くすべての基金を対象としている。また、対象となる財源も、ご紹介があったが、現金、国債、地方債等、これも法定されているところである。
 一方、実質公債費比率は、地方債の協議制移行に当たって、平成17年度決算から導入された指標である。これは、その年度の地方債を発行するに当たって、いわゆる国との協議団体にするか、または許可団体にするか、これを判定するために導入された指標である。当該年度の地方債発行が支障がないようできるように、できるだけ簡素にされている。したがって、対象も普通会計におけるフローの財政状況を主に評価するという形になっている。したがって、減債基金残高についても、例えば理論値で算出されたあるべき残高を用いるとか、公債費についても一部理論値で計算するなど、できるだけ簡素にできるような形で組まれているところである。
 確かにご指摘のあった現金化という点では、多少工夫、難点があるということについては承知しているが、一応こういうような全国的な制度の中で算定はさせていただいているところである。
 ご紹介あった実質公債費比率、将来負担比率それぞれについては、このように導入時期と目的が異なっているので、その取り扱いに差があるのではないかと考えている。引き続き、このような全国共通の前提条件に基づいて算定をさせていただきたいと考えており、現在の算定については、その方針に基づいて算定をさせていただいているので、適正なものと考えているところである。

○(竹内英明 委員)  適正かどうかというもの、法令に基づいたもの、また実質公債費比率と将来負担比率の考えの違いというのはわかるが、これは同じルールを使って全国の自治体がやっているが、この兵庫県の実情を見て、問題がないところとあるところがあるというふうに思われると思う。そのときに私は美術品が一番問題だと、それに次いでは土地が問題だと。最初、あいまいな部分があったが、実質、もしこれを問い合わせして新たに認めてくれ、例えば塩漬けの土地というのはいっぱいあるわけであるが、こういったものを全部入れたらいいじゃないかと、こういうことが実際可能である、今の解釈では。であるから、そういったことは他の自治体、またこれから地方分権されるときに同じ指標を使っていても全然違うような解釈をして、片一方は塩漬けの土地まで入れて減債基金の積み立て不足を復活させているじゃないか、こんなことになったら、私は地方分権にとってはマイナスだというふうに思うので、まず美術品、土地、これを改めてほしい。これは今、お金がないことはもう十分承知をしているから、これについては前向きに今後ともやっていただきたいというふうに思う。

 そこで、監査委員にもここでお聞きしたいわけであるが、実は監査委員が出されている決算審査意見書を見ると、この県債管理基金の一部に土地が含まれているということを欄外に小さく記載してあった。実は私、この決算委員になるに当たって、この審査意見書を読ませていただいて、これで土地が入っているのはやはりおかしいのではないか、このように気づいて調査をしたわけである。私の質問で、土地や美術品、こういったものを算定に入れていることを初め、実質公債費比率の算定について、改善すべき課題があるというふうな認識に立っていただいたと思うが、この点についてお尋ねしたいと思う。

○(京 監査委員事務局長)  健全化判断比率の審査に際しての監査の役割は、財政指標の客観性や正確性を担保することにある、この認識のもと、実質公債費比率の審査に当たっては、知事から提出された健全化判断比率とその算定の基礎となる事項を記載した書類をもとに、一つには法令等に照らし、財政指標の算定過程に誤りがないか、二つには法令等に基づき適切な算定要素が財政指標の計算に用いられているかなどに留意して、実施をしたところである。

 委員より、実質公債費比率の算定等について改善すべき課題があるとのご意見に関しては、監査としては、健全化法及び同法に基づく様式の記載要領に土地や美術品を控除すべきであるとの規定はなく、また、決算審査の場においても、当局から「法令上、土地や美術品を控除するように健全化法等には規定されていない」といったような答弁があったことなどから、算定過程に誤りがなく、法令等に基づき算定をされていると判断したところである。
 なお、実質公債費比率の上昇は、この県債管理基金の積み立て不足が大きく影響していることから、財源対策として同基金を取り崩す場合は、十分留意する必要があると要望したところである。

○(竹内英明 委員)  土地を含めて記載してあったことが注意喚起になったのであるが、ちょっと今の答弁では監査が独立しているとは私は言いがたいかなと。少なくとも、国に問い合わせすればそれではだめだと言われる可能性は私は大いにあると思うが、せっかく監査委員に審査をさせると、そして意見をもらうということを法令で定められているわけであるから、県当局と全く同じだと、県当局に聞いて適正だということだけでは私はいけないと思う。またこれは、議論があるところだというふうに思う。

 そして、次に早期健全化団体となる可能性というふうに記載をさせていただいているが、財政フレームによると、今後の実質公債費比率のピークというのは平成26年度の24.1%、先ほども質問等があったが880億円の要調整額を残して、この数値である。この要調整額というものを、仮に全額、この県債管理基金で取り崩した場合は、平成25年度単体では24.9%にまで上昇する、これは予算委員会で私が質問させていただいた。

 私の計算では、今年度の実質公債費比率について問題だと。これは私の計算であるが、特に言った美術品や土地、これを除くと約0.3%上昇をする。そして将来負担比率の算定ルールに基づいて、貸付金というものを除外すると22.3%、さらに厳格化をして、国債と兵庫県債以外の地方債、これと現金だけで計算すると3.3%上昇して24.3%。確かに先ほどの答弁のとおり、兵庫県債を入れることについては私は理解できるので、これを入れると2.2%上昇して23.2だということになる。いずれにしてもこれからの上昇カーブを推測すると、本県もこの25%を超えて早期健全化団体に移る可能性は十分ある。つまり、今のままの財政フレームで、私が述べたような算定に直すと、健全化団体に入る可能性は十分あるということであるが、先ほども意見の相違があった。そういうことはわかるので、私は少なくとも、この美術品や土地を除く0.3%上昇分、これを含めた形で見直してほしいと思っているので、さらにやはり歳出、そういったところの削減につなげていっていただかなければならないというふうに思っている。

 先ほども少し触れたが、この平成17年度から導入された実質公債費の算定に当たって、県債管理基金の積み立て不足というものが予想以上に指標に大きな影響を与えるということが判明して、他の基金を初め、外郭団体の基金も県債管理基金に移しかえたときに、土地や美術品、物品も一緒に移管したという話であった。それは、いろいろ知恵を出されたということはよくわかる。しかしながら、地方分権への流れの中で、私はこういう方法がいずれ自治体に何か権限を移譲するという形になったときに、これではだめだと言われるときに使われかねないというふうに思う。であるから、こういった指標、特に全国的な共通の指標を算定するに当たっては、今後、私の意見も踏まえてしっかり対応をしていただきたいというふうに思う。
 そうでなければ、法律の解釈であるから、これは国の国会でやってもらったらいい、本当は。例えば総務大臣に、「これ、どうか」と具体事例を挙げたら、「それは認めない」と答弁されてしまう。だがそうなったら我々としても影響が大きいし、当時、国と協議したというような話もあるだろうから、そのときに認められた話が、今となって政権交代があったから、そのときはなかったことになる、これではいけないと思うので、少なくとも美術品、土地、これについては早急に改めていただきたいというふうに思う。
 
基金の算定を現金等に厳格化した場合の実質公債費比率比較(竹内試算)

2.新行革プランについて

(1)財政フレームの見直しについて

(ア)税収不足

(イ)補正予算

(ウ)政権交代

(2)歳出削減へ向けた更なる取組みについて
  次に、新行革プランについてお伺いする。
 財政フレームの見直しについて、先ほども議論があったが、特にこの税収不足の問題については、先ほどの答弁では、想定以上に厳しい、特に法人関係税なんかが想定以上に厳しいと、当初予算の確保は困難であるという答弁があった。知事も本会議の提案説明の中で、「いまだ年度半ばではあるが、県税収入については、厳しい経済状況が続き、法人関係税を中心として、当初予算の確保が厳しい状況にある」と言われていた。
 先ほども答弁があり、年間の見込みが難しいという答弁であったから、この税収不足については厳しいということで質問はしないが、次に、2として補正予算について、この財政フレームの見直しに関連をする部分で質問させていただく。
 5月の補正予算で、補正予算債の発行など、新たな借金がふえたということで、これは自民党からも質問があったが、この6月議会の答弁で、補正予算債の発行に伴う県債発行残高の増加について質問され、指標を算定する際に控除されるべき、この指標算定というのは実質公債費比率だと思うが、指標を算定する際に控除されるべきで、国に見直しを求めたい、このように答弁をされていた。実際に国はこれを控除してもオーケーだと言ってくれたのかどうか、そうでなければ、補正予算を組んだことによって、当初の財政フレームで示されていた実質公債費比率というのが、少しだと思うが、どれぐらい上昇する見込みなのか、お聞かせいただきたいと思う。

○(西上財政課長)  このたびの経済対策でとられた補正予算債であるが、これはまず経済対策という臨時的な支出には、地方の負担をかけないように当然すべきだということから要望させていただいていることであるが、補正予算債の一部、いわゆる単位費用分と我々は言っているが、その分については実質公債費比率であるとか、将来負担比率の算定に当たっては、現在控除されていない。したがって、これを控除するべきではないかということで国に対し、見直しを要望しているところである。私どもとしては、現在、国において検討されている段階という認識である。
 なお、この要望は、あくまでも補正予算債の単位費用分が控除されるということになると、現在の指標よりもよくなるということであるので、仮に現状のまま控除されないとしても指標が上昇するものではない。

○(竹内英明 委員)  ありがとうございました。
 続いて、政権交代に関連するこの新行革プランの見直しについてお伺いしたいというふうに思う。
 これは本会議でも質問があったし、またこの委員会でも少しお話があった。私は、まず一番大きなもの、今まで私が取り上げてきたものの中で、小泉内閣とか安倍内閣が骨太の方針2006というものを基本として、大規模な歳出削減だと、規制緩和だと、自由競争、これによって高い経済成長が続く、いわゆる上げ潮路線というものを前提として、国の経済成長見込みというものを立ててきたということがあった。しかし、これは見直されるであろう。

 それと、民主党がマニフェストの中で掲げてきたガソリンや軽油引取税、特にこの軽油引取税は本県にも影響してくると思うが、自動車関係諸税の暫定税率の廃止見込み、それに伴う直轄事業負担金の廃止、またこれもせんだって建設常任委員会で少し答弁があったし、私も予算委員会で少しだけ触れさせていただいたが、県が事業主体となっている公共事業における市や町に対する受益負担制度、これの見直しもあわせてあるんではないかということ、そして国と地方の大きな関係の変化であるところの国庫補助負担金制度というものから一括交付金、これは2011年度ということで、少し先なわけであるが、こういった国と地方のあり方というものが変化をするんではないかなというふうに思っている。

 この政権交代による影響点というものが、この新行革プラン全体、また財政フレームにどういった影響を与えると考えておられるのか。当初、3年ごとの大きな見直しを想定されていたが、やはりこれは早めなければならない、このように思っている。また、政権交代、まだ1ヵ月、不安定要素も多い、これも確かであるが、知事も7日の行財政構造改革県民会議において、今後の見直しスケジュールについても言及されているといったような報道もあった。今後のスケジュールについてもあわせてお考えを聞かせていただきたいと思う。

○(牧 企画県民部長)  新行革プランの財政フレームについては、現行の地方財政制度や国の制度を前提として算定を行っているところである。新政権が打ち出している自動車関係諸税の暫定税率の廃止、あるいは直轄事業負担金の廃止といった税財政制度の変更はもとよりとして、ほかにも子ども手当の創設、あるいは後期高齢者医療制度、障害者自立支援制度の廃止と、こうした国の諸施策の見直しに伴って、本県の財政運営にも大きな影響が生じる可能性があると考えている。
 このため、国に対して幾つか、我々、新政権に提案を行っており、例えば地方の実情をきちっと踏まえて、地域経済、国民生活に影響が生じないよう配慮するようにという国に対する提言、あるいは、こうした制度改正に伴って、地方の減収額に相当する地方財源を確保するよう、こうした提言も行っているところである。
 また、財政フレームについては、本来であれば3年ごとの総点検を平成22年度に行うこととしていたが、新政権のもと新行革プランの前提となっている地方財政のスキームが大きく変わる可能性があるので、これに伴う税収の大幅な減少、投資事業の縮減なども想定される。このため、年末に示される国の予算、あるいは地方財政対策の動向をしっかりと見きわめた上で、来年度予算編成に向けて財政フレームの見直しの必要性についても検討していきたいと考えている。

○(竹内英明 委員)  ありがとうございました。これから、私は歳出削減というものが必要になってくると思うが、今以上に厳しくなってくるというような気がしているが、今年度も例えば今まで申し上げてきた県債管理基金について、トータルで375億円の取り崩しを予定されている。また、私が調べたところ、20年度決算の実質的に出納整理期間を踏まえた実際の現金基金額というのは455億円しかない。有価証券を取り崩したり、貸付金の償還というものがあるんだと思うが、私は、現実は綱渡りに近い資金繰り状態ではないかなというふうに思うわけである。もちろん収入があるからいいわけであるが、税収があるから。しかし、税収見通しというものも厳しい。
 思い起こせば2年前、年度途中に執行留保といったような、大変残念なこともあった。ことしも効率的な予算執行、そして減収補てん債で対応する、先ほどこういった答弁があったが、普通交付税の減額もある。今年度は、他会計からの借り入れで急場をしのぐといったような2年前のようなことがないのか、そのあたりについて確認をさせていただきたいと思う。

○(西上財政課長)  ご質問にあったように、今年度も厳しい状況であるが、一応、県税の減収見込み及び地方交付税の減収額については、減収補てん債で補てんできると考えているので、19年度のような事態にはならないと考えているところである。

○(竹内英明 委員)  ことし5月に本県としては、市場公募債としては初めてということであるが、20年債を超える30年債の発行を行ったということである。超長期債なんていうふうに新聞では取り上げていた。金利面を考慮すると、国債よりやや高いぐらいで妥当だなというふうに思ったわけであるが、やはり30年間かけて償還をするということになると、30年後、だれがここにいるのかなと考えると、責任の所在という観点だけではなくて、やはり私はこういうのは借金の先送りにつながっていく、負債総額の減少がどんどん先に延びていく、このような不安があるわけで、若い職員の皆さんなんかと話をすると、給与カットがいつまで続くんだ、これをやはり心配する人が結構ある。

 私は、そんな中で本当にもうむだがないのか。今年度は補正予算、財源は国が見ると言ったことはあるとはいえ、かなり私は強気の予算編成であったというふうに理解をしている。財政フレームの次なる見直しに当たって、さらなる歳出削減に踏み込む必要があると思うがいかがか。

○(西上財政課長)  現行の新行革プランでは、3年ごとに行う総点検の中で、さらなる見直しについて検討するとされているところである。昨年度の新行革プランの策定に際しては、さまざまな分野からご意見をお聞きするとともに、県議会においては特別委員会を設置していただき、慎重にご審議をいただき、ご議決をいただいたところであるので、当面、本県独自の歳出削減に伴う改革内容の見直しというのは考えていないところである。

 一方、現在、国において検討されている公共事業費を初め、国直轄事業負担金、また自動車関係諸税の暫定税率、これらの見直しなどの内容が明らかになってくると、本県の財政フレームに影響を及ぼすことも考えられる。その際には、さらなる歳出削減が必要となるか、そのことについても慎重に対応しないといけないと考えている。

 いずれにしても、現在の経済・雇用情勢が好転するには、ある程度の期間を要する。それに加えて、国において検討されているさまざまな制度改正が地方に大きく影響を与えることも考えられる。当面は、県議会のご協力もいただきながら、まずは地方の財政運営に支障が生じないよう、地方の財源対策を適切に行っていただくよう、国に働きかけていくことがまず重要であると考えているところである。

○(竹内英明 委員)  最後にするが、先ほど県債管理基金の質問をして、本県のさらに厳しい実態について言及した。他府県同様の算定をすると、非常に厳しいなというふうに感じたわけであるが、基金の移管というのを実行した平成18年度当時の本県財政について記載されていた新聞記事を読むと、県債管理基金は積み立てておくべき額の1割しかなく、財政指標として昨18年7月に新たに導入された実質公債費比率は都道府県中ワースト3の19.6%を記録した。平成19年1月13日から始まった予算案の知事査定、いつもは、「それ、やろう」と言う知事が、「削れないのか」となった。予算を削るのが仕事の財政課はいつも「厳しい」と言う。だが、「もっと早く本当に厳しいと言ってくれないと判断がおくれるじゃないか」と漏らしていた。これは平成19年11月6日付の神戸新聞の記事、非常に印象に残っている。

 ところが、一方で県議会の本会議質問、平成19年2月20日、私が来る前であるが、釜谷議員の質問に答弁をされている知事の答弁であるが、「新たな公債費管理の指標として設けられた実質公債費比率の抑制を図るため、県保有の特定目的基金と、県関係団体が県の支援により造成した基金等について、これらの基金が事業の実施を担保してきた趣旨を今後も持続させながら、県債管理基金に緊急的に積み立て、実質公債費比率の抑制を行った。いわば長期の特定目的の別途預金を本来預金に戻した、活用を図ったということだと考えるし、また、本県は、それだけの別途預金を持っていた、財政力があったと言えるのではないか、このように思っている」そのように答弁をされている。

 前者の引用の話と、このように強気の面もあって、実際に私は美術品、土地が含まれていることを見ても、前者だったということでもある。私は、この強気の面というものをそろそろ取り去って、さらなる歳出の削減をすべきだ、このように思う。政権交代もあった。今をチャンスをとらえて、そのあたりに取り組んでいただきたい
、これは要望であるが、これを申し上げて私の質問を終わらせていただく。ありがとうございました。

美術品や土地等の算入に問題があることは財政関係者なら皆わかることで、苦しい答弁が続いた。それでも、こうした状況をすぐに改善すると約束できないのは、基金に積み立てる現金が不足しているという厳しい現実と、もうひとつ「将来の償還のためにためておくのは宝の持ち腐れで、国が言うように基金を積む必要はない」という考えがあるからである。後者は過去の政権のと同じ考えで結果的には現世利益の考えと同じである。

今回私が指摘したのは、公表されているよりも本県財政は厳しいところにあり、このままでは早期の改善が望めないこということと、厳しい認識の上に立って、事業の見直し等に再度取り組む必要があるということである。厳しい指摘をしたのは、そのための私なりの手法である。




答弁を聞く竹内