県議会本会議
平成20年9月30日 竹内質問と答弁について


本会議質問をまとめましたので公開します(10月5日)。
◆議事録の公式速報版は約1ヵ月後に兵庫県議会会議録閲覧・検索システムで公開されます(正規の議事録は、さらに後日の会議録署名議員の署名後確定し、公開されます)。
答弁側の協力により、こちら側でビデオチェックなどをするような必要もなく、当ページが作成できました。

質問要旨(クリックすると質問の該当箇所へ飛びます)  質問通告日9月29日

小問・枝問 その後の措置など
1..関西広域連合と道州制について
(1)多層性となることへの懸念について
(2)道州制に対する同床異夢について
報道あり
[神戸新聞1001]
2.全国学力テストについて -
3.兵庫県立大学の本部移転について 動きあり
4.救急医療体制の整備について 動きあり
5.消防の広域化について 新事実あり
6.公費からの選挙祝い金について 動きあり
例規集への検索機能の追加改善について 動きあり→実現
[兵庫県HP1104]

質問・答弁全文

[ 釜谷研造議長の指名により登壇、一礼]
民主党・県民連合、姫路市選出の竹内英明でございます。衆議院選挙が近いんでしょうか、きな臭い質問もでていましたけれども、私は県民の代表としてしっかりと、初めての本会議質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


項目 質問 答弁
1.関西広域連合と道州制について

(1)多層性となることへの懸念
まず、昨日の代表質問でもございましたけれども、関西広域連合と道州制について伺います。
特に、関西で道州制や広域連合ということが言われる場合に、その目的として語られる「東京一極集中の是正」、これにつきまして、先日都内の若手区議会議員の皆さんと話をする機会がございました。

実は、「東京都23区の全ての区で、今年度、中学校卒業時までの医療費の無料化が導入された」ということを聞きました。通院これは東京都と23区が共同して補助しているということでありますが、通院費・入院費が無料で、また親の所得制限もないということで大変恵まれています。兵庫県内で同じレベルの自治体はございません、全国的にもわずかでございます。

現在、兵庫県と東京都の財政指標を比較しますと、実質公債費比率は兵庫県が20.2%で東京都は8.7%。将来負担比率は兵庫県が361.7%で東京都が82.9%と、その財政格差は相当大きいと言えます。現行制度の中で本県単独の行革等をすすめたとしても、この差を埋め、東京一極集中の是正、張りあっていこうとしても少し限界があるのではないかと思います。

私の場合、関西が一緒になって東京に対抗するだけでなく、行政の効率化により財源を生むという行革の視点でも道州制の導入を考えています。例えば、わかりやすい“議会”の例を上げますと、昨年3月に示された自由民主党道州制調査会小委員長の私案では、「道州議会の定数は100人以内」とされています。

これまで関西広域機構に参加していた関西2府7県の議会の条例定数の合計が535。もしこの小委員長の案が通れば、大変な定数削減になるということですけれども、州議会の定数を上限の100としても、2府7県の人口比で案分した場合、兵庫県の割当は23人になります。この議場には92人の方がおられたわけですが、その4分の1ということになります。国の道州制ビジョン懇談会でも同じような定数削減が検討されています。道州制による行革は相当ドラスティックだということがこの事例だけでもわかります。しかし、この議員の数が減るということが住民の皆さんに伝わったときに、逆に「道州制はいいことではないか」、こんな声も聞くこともあります。

また他方、近年の市町村合併や権限移譲で基礎自治体の存在感が増しています。市町村制が導入された120年前の明治22年、兵庫県には2市 428町村、計430の市町村がありましたが、それが今29市 12町、計 41と当初の10分の1以下になっています。一方、都道府県は120年前も同じ47、ほとんど何も変わっていません。基礎自治体の権限が増え、一方で都道府県には国からの分権は少ないというのでは、住民から都道府県の役割が低下しているんではないか、こうした指摘があっても当然かもしれません。都道府県を広域化し、分権の受け皿とすることに舵を切るべきではないでしょうか。

しかし、本県のように、関西広域連合はつくるが、将来的には道州制に移行させず、府県と並立させ、関西3空港の一体的な運営管理など大きな事務も広域連合で受けていこうとしているところもあります。この考えでは、国・県・市町の3層制の間にしっかりした形の関西広域連合が入り、4層制で統治するような形になるのではないでしょうか。広域連合の長や議員が間接選挙となり直接住民から選ばれないことで、府県以上に住民から遠い存在となるほか、府県の合議体のような組織になり、意思決定のスピードが遅くなったり、行政効率的にも今よりも高コストとなるのではないか。最終的に道州制を目指すものでなく、4層制の統治機構を将来的に望むのなら参加するメリットよりもコストの方が高くつく、少なくとも行革効果は発現されにくくなるのではという懸念をもっています。

奈良県の荒井知事は、自らのホームページで、関西広域連合について「奈良県は反対」と記し、その理由として、府県と政令市の二重行政や統治構造の多層化をさらに屋上屋として重ねることを批判されていました。井戸知事は、昨日の本会議で、広域連合が担う事務について「二重行政として屋上屋を重ねることがないようにしたい」と答弁されておりましたが、私はこうした事務の重複はもちろんのこと、広域連合にかかる事務が増えたときに、市町・府県・広域連合・国という統治機構として重厚な4層制が長期かつ固定化することについて多層性として懸念されるわけですが、これについてのご所見をお伺いします。
(答弁者)井戸知事
 東京一極集中の是正は、ご指摘の財政カ格差をはじめ首都機能の集中など、制度的な格差によるものが大きいのではないか、このように考えます。そのような意味では地方分権を進めることこそ、その対策の基本である、そのように信じています。しかし、道州制導入の基本が、ご指摘のような行政効率を求めることを主眼とするならば、地方分権とは似て非なる、中央集権型道州制の導入の危険を免れないのではないかと懸念しています。

 関西広域連合は、広域防災や広域医療連携など、現状では責任主体を欠いている広域的な行政課題に対して、責任ある一つの広域行政主体として、府県等が実施する個別施策と連携しながら、広域、一元的に対処するための組織だと考えています。
 地方目治法上、府県による広域連合は、構成府県の区域を超える事務の共同処理機関であります。各府県の事務とは明確に仕分けすることができるのではないか、このように考えています。もともと広域的な処理が必要な事務について、特別地方公共団体としての広域運合が責任主体となるのであって、府県が処理しなかった事務を処理することになるので、府県との二重行政にはならないと考えています。

 また、このような事務の共同化により、各府県がその都度協議したり、共同実施したりする必要がなくなり、効率的な処理も期待できます。このような事務の共同化は、事務の性格から生ずるものでありますので、多層性の課題とは少し異なるものと考えます。

 むしろ、道州制を導入した場合、広大な区域を所管するため、現行の府県単位で支分庁を置かざるを得ないことも想定されますが、その場合には、同じ道州の事務を多層的に処理することになり、かえって弊害が大きいのではないかと懸念しています。

 いずれにしても、今後、関西広域連合の規約、詳細な事務、事務処理の流れ、組織体制などを検討していくにあたっては、二重行政として屋上屋を重ねることがないよう、広域連合が担う機能を具体化し、責任を明確にしたうえで、府県との相互の連携強化を通じて相乗効果が得られるよう留意していきます。また、関西広域連合への参加に当たっては、すべての広域事務に参加しなくても、一部でもよく、また、オブザーバー的な参加も認めるなど、弾力的なものとしていきたいと考えています。

■道州議会で予想される各府県ごとの議員定数(竹内試算)
■市町村数の変遷と明治・昭和の大合併の特徴(総務省HP)
■兵庫県の事例に見る市町村合併の課題(奈良県桜井市HP・神戸新聞編集部松本氏講演)

(2)道州制に対する同床異夢について そして、もう一つ確認したいのが、道州制に対する同床異夢について、であります。
先だって、私は有志議員とともに、この広域連合の結成を事実上支えてこられた経済界「関西経済連合会」、通称「関経連」へ出向き、役員や企業の方々と意見交換を行ってまいりました。そこで今年7月に示された関経連の「分権改革と道州制の基本的な考え方」を見ますと、「めざすべき道州制の姿」のほか、「道州制の全国一斉導入期限を平成30年に設定」し、同時に「全国的に都道府県制の廃止」ということも明記されていました。

また、関経連と同様に、道州制に賛成なのが、大阪府の橋下知事ですが、大阪府議会において、関西広域連合を「道州制の実現に向けた具体的なステップ」と発言されています。

一方、本県の井戸知事は、去る24日の本会議提案説明の中で、道州制について、「政府や政党で道州制導入に向けた動きが活発化しているものの、権限や財源に対する中央省庁の姿勢からは、自治立法権や自治財政権を有する地方分権への道は、極めて困難である」と述べ、現在の中央省庁の姿勢では道州制による地方分権の実現は困難という見方をされました。その一方で、「地方から分権改革を実現する選択の一つとしての『関西広域連合』」には参加したいという意向を示されました。

広域連合のままいくのか、将来的には道州制になるのか、兵庫県と大阪府・関経連は方向性が違うわけですが、広域連合の基本合意はしたということであります。これは同床異夢と言えるのではないでしょうか。

この広域連合の費用を負担していくことになるのは、最終的に納税者、住民であります。関西広域連合に参加する自治体の中でも道州制についての姿勢が違う、つまり同床異夢となっていることを説明するとともに、その府県の姿勢をそれぞれの住民に説明しておかなければ、「関西広域連合は道州制への第一歩だから参加する」という大阪府の主張だけがメディアで取り上げられ既定路線のように他の県民にも映りかねません。また、きちんとした情報を出せば、各府県がバラバラなのに議会をつくったりして新たなコストをかけてまで参加する必要はないという住民の声も出てくるかもしれません。この方向性の違う、同床異夢の構成員の舵取りは非常に難しいと思います。

その意味でも、広域連合は法律上、広域連合長によって代表され、事務を総括することとなっていますが、広域連合長を誰が担うかは大変重要な問題だと思います。これまでと違うのは正式な特別地方公共団体の長であり、政府に向かって関西を代表して物を言うことができる、いわば“関西の顔”になるわけです。大阪府の橋下知事が広域連合長、関西の顔として活動するとなると、当然、大阪府議会で発言された道州制に向けた動きを目指されると思います。

参加自治体の長で構成する広域連合委員会の互選で、長を選ぶことが想定されておりますが、橋下知事が就任すれば、これまでの言動や強烈な個性、結果を出す戦略性、これはなかなかのものであります。この橋下知事に対抗できるのは、地方自治や行政に詳しい井戸知事しかいないという声も聞きました。関西広域連合は道州制の方向にはいかせないと明言されるのであれば、当然、責任ある立場になって、法律上、長は1人でありますから、長を受けるぐらいの心構えがないといけないのではと思います。

井戸知事は、広域連合長として関西広域連合をリーダーシップをもって運営していこうという意思はあるのか、またあわせて、道州制に対する同床異夢、つまり各自治体間での将来像への違いについて如何に県民の皆さんに説明していくのか、教えていただきたいと思います。
(答弁者)井戸知事
 道州制については、国、地方を通じた行政システムとしての全体像がいまだ明確でなく、国からの権限や財源の移譲が確実に担保されないなかで性急に導入を進めるならば、かえって、先ほど甲しました、中央集権化が進むのではないかと懸念しています。

 こうした実情を踏まえ、地方発の分権改革モデルとなる関西広域連合の検討を進めております。これを将来の道州制を見据えたものとするのか否かの点はあるにしても、地方発の分権改革をめざす具体的な行動として、広域連合設立のねらいや基本方針、当面処理する事務などについての関係府県共通の理解のもとに具体的な設立準備に移行することを合意しました。

 ご指摘のように、道州制への一歩なのか、道州制に代わる制度なのか、については、広域連合の機能や運営の成果によって評価されればよいのではないか、あえて、決め付ける必要はないのではないか、このように考えています。

 今後、本県として、道州制が抱える課題を的催に指摘しつつ、より現実的で課題対応カの高いアプローチであります広域連合の考え方や必要性について、広く県民にも周知を図りまして、地方から主体的に分権改革を推進していきたいと考えています。 なお、広域連合の執行機関であります、広域連合委員会の導入を検討しておりますが、広域連合長は、委員の互選により選出することが想定されますので、現段階で広域連合長は誰が適当かについて言及する立場ではないと考えます。しかし、少なくとも、関西広域機構分権改革推進本耶の副本部長であります私としては、骨格案づくりの中心的役割を担ってきただけに、広域連合が早期に設立できるよう、今後とも積極的に先導していきたい、このように考えておりますのでよろしくご指導いただきたいと思います。
■関西広域機構 分権改革推進本部第3回本部会議について(奈良荒井知事記者会見)
2. 全国学力テストについて 第二に、全国学力テストについて伺います。
先般結果が公表された平成20年度の「全国学力テスト」ですが、現在、市町ごともしくは学校ごとの成績を公表するかどうかばかりが注目されています。多額の税をつかって実施したわけですから、私からは、その結果を子どもたちの教育を高めるためにどう使うかという点で質問させていただきます。

この「全国学力テスト」ですが、子どもたちは実際どんな問題を解いたのでしょうか?小学6年生が受けたテストのうち、算数の基礎知識を問う「算数A」の問題を今日ここにもって参りました。私がこの中から簡単な最初の1番の問題を2つ、議場におられる方、付き合っていただける方には考えていただきたいと思います。

まず、計算問題です。
(問題)3+2×4= です。
書いていただいても結構です。書くまでもないかもしれません。これは小学6年生に対する問題ですが、実はこれ小学4年生で習う問題です。正解は11ですね。

この問題の正解率なんですが、兵庫県73.1%、全国平均で70.9%です。掛け算を先に計算せず、足し算を先に計算すると「20」となり間違いです。この間違いが多かったのかなとも思いますが、学校で毎日のように算数を勉強している小学6年生の3割近い子供がこの問題を間違うというのはかなり低い正解率だと思いました。

次にもう一問だけ。「分数」の問題です。「分数」といえば、10年ほど前に京都大学の西村教授らが『分数ができない大学生』を出版し、ベストセラーとなり、有名になりました。大学生でも分数の計算ができないということで、「ゆとり教育」批判にもつながっていったと記憶しています。

問題は 2÷3 この商を分数で表しましょう、という問題です。

ここにいる皆さん、2/3以外に考えられないという顔をされておりますが、そうです正解は2/3です。ところが、6年生の正解率は、兵庫県で66.7%、国で73.7%です。兵庫県では3人に1人が間違っている。問題の意味がよくわかっていないのか、分数そのものの理解がなかったのかわかりませんが、大変心配だなと感じました。

この2つの問題が6年生の4月の段階でわからない。こうした基礎学力の遅れを挽回させるのは補習授業、個別対応とらなければならないと思います。そうしなければ、中学、高校へ行って更に問題が難しくなったとき、ついていけないんではないか、こういう心配をいたします。

先月、OECDのPISA調査で学力世界一となったフィンランドの教育の現場を私も見てまいりました。毎週、遅れている子供の補習授業や卒業ができない、また自らの意志で留年する制度など、落ちこぼれをなくすという考え方が、学力の底上げにつながっていることがはっきりとわかりました。日本でも遅れのでている子供たちを補習事業等で手厚く支援することが全体のかさ上げになると思います。今の学校現場で、ただでさえ多忙な教員の状況で追加対応せよといっても難しいのではないかと思いますが、この点も踏まえ、基礎学力で理解度に遅れが出ている子供たちへの支援を含め、全国学力テストの結果全体を踏まえて県教委としていかに取り組んでいくのかについてお聞かせください。
(答弁者)吉本教育長
 全国学カ・学習状況調査は、国、都道府県、市町教育委員会は、自らの教育及び教育施策の成果と問題を把握し、その改善を図るとともに、各学校は児童生徒の教育指導や学習の改善に役立てることを日的として実施されております。
 県教育委員会では、学識経験者等からなる基礎学カ推進委員会を設け、全県的に課題が見られた問題から児童生徒のつまずきの傾向を分析し、授業改善の視点を示すこと、学カと学習や生活の状況とをクロス分析し効果的な学習習慣や学習指導の在り方等を明らかにすることなどに取り組み、学カの全体的な底上げを図ることといたしております。

 昨年度の学カ調査につきましては、推進委員会の検証結果を踏まえ、全県的な課題を共有するための市町教委、学校関係者によるシンポジウムの開催や分析資料を全教員に配付し、その活用に取組むとともに、課題解決に向け意欲的な取組を進める学校に非常勤講師を配置する学カ向上実践推進事業を実施をいたしております。

 これらの取組により、教員の授業サポートや放課後の補充指導、家庭学習の支援のための手引書の作成などの取組が現在進められており、その成果を期待いたしております。更に、今年度の結果を踏まえ、全県的に課題が見られた中学校の国語への対応や新たに加えられた教科の学習意欲と学カとの相関などの分析を進め、効果的な学習習慣の定着に努めるなど、更なる学力向上に取り組んで参ります。


■フィンランド基礎学校訪問記録(竹内視察記録HP)
■平成20年度全国学力・学習状況調査の調査問題・正答例・解説資料(国立教育政策研究所HP)

■「フィンランドに学ぶべきこと」(平成18年6月20日姫路市議会本会議竹内質問HP)
3.兵庫県立大学の本部移転について 次に、兵庫県立大学の本部移転についてお伺いします。
新行革プランの中で、「本部事務局等は、経費節減とともに、キャンパスの一体感醸成及び大学の効率的運営を図るため、現有建物を最大限活用することを基本に、神戸学園都市キャンパス等適地へ移転する」とされております。実は、姫路市がこの県立大学の本部事務局の誘致を表明したようです。最終案でも「学園都市キャンパス等(など)適地へ移転する」とされていますので、この『等(など)』という文字に姫路も含まれているのかなと思うわけですが、今後、移転場所を決定させるにあたり、姫路案もぜひ検討していただきたいと思うわけであります。

というのも、現在の県立大学の主なキャンパスの配置は、「神戸キャンパス」を除き、「神戸学園都市」「姫路書写」「播磨科学公園都市」「姫路新在家」「明石」の5キャンパスであり、地理的に考えれば、姫路または明石がその中間的な位置にあります。

姫路駅前の場合、まず交通アクセスは、神戸の中心である三宮駅から姫路駅までは新快速で39分。三宮から神戸学園都市までは神戸市営地下鉄で23分ですから16分しか変わりません。外部との関係でも新幹線を含む鉄道や自動車交通の利便性、県内全域からのアクセスも姫路はそんなに悪くありません。

また、県立大学の本部を姫路へ誘致するなら、姫路市からは様々な支援があるかと思います。というのも、姫路には明治以来、公立の高等教育機関として、現在の神戸大学発達科学部の前進でもある兵庫県姫路師範学校が1901年に開設されたことにはじまり、1923年には河本敏夫元国務大臣や評論家の竹村健一さんらも入学した旧制姫路高等学校が設立されました。戦後の学制改革により、神戸大学への合併が検討された旧制姫路高等学校は、市を挙げた存続運動や反対運動もむなしく吸収されたわけでありますが、そのときの運動は強く姫路市民の心に刻まれています。

その後、県立姫路工業大学がつくられ、県立姫路短期大学も独立開学するなど、戦後も公立大学の本部は姫路に存在し続けていましたし、姫路工業大学・書写キャンパス移転整備などの際にも姫路市が協力していたと聞いています。ところが、2004年に行われた現在の兵庫県立大学への統合で、公立大学の本部が明治以来100年で姫路からは全てなくなってしまいました。大変残念なことであります。

今回の本部移転についても、既に具体的に当面の本部の場所を提供するということで県当局も姫路市から提案を受けていると聞いていますが、書写キャンパスの老朽化も進んでいることから、今後の姫路市内のキャンパスのあり方も含めて検討していただきたいと思います。姫路駅周辺には、ものづくり大学建設予定地の隣接地にも利便性の高いイベントゾーンと呼ばれる広い土地があるほか、整備予定の姫路駅ビルについてもその利用方法等については現在検討中と聞いています。

少なくとも、誘致に名乗りを上げた自治体には学長をはじめとする大学の執行部、財政運営を担当する知事部局の方々に例えばプレゼンテーションの機会を与えるなど、具体的提案内容や取り組みの熱意等をみていただきたい、そのように思うわけです。これについてのご所見をお伺いします。
(答弁者)牧企画県民部長
 まず県立大学本部移転についてお答えします。
 県立大学の本部事務局につきましては、次世代スーパーコンピュータの立地に伴いまして応用情報科学研究科がポートアイランドに移転致します。その結果、本部事務局のみが現在の場所に残ってしまうこと、また現在、本部事務局が入居しております民間ビルの家賃負担の軽減にもつながることから、その移転を検討しているところでございます。

 移転の検討にあたりましては、まず大学本部と教育・研究等を担うキャンパスとの一体感の醸成、そして現有の大学施設を活用することによる経費節減や事務執行の効率化、また各キャンパスから本部へのアクセスなど交通の利便性、そして総合大学にふさわしい本部所在地としてのイメージ、さらに大学本部立地に対する地元からの協カなどを考慮致しまして、多様な観点から幅広く総合的に検討しなければならないと認識をいたしております。

 今後、具体的な移転先の選考に当たりましては、新行革プランにおきましては、移転先について神戸学園都市キャンパスなどとしているところから、ご指摘の姫路市も候補地のーつになると考えておりますので、今後、平成23年度に応用情報科学研究科の移転が予定されていることも踏まえまして、これら候補地の中から適地を検討していきたいと考えております。

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4. 救急医療体制の整備について 次に播磨地域の救急医療体制の整備について伺います。
昨年12月、姫路市の救急患者の男性が倒れ、手術中や専門医不在などを理由に19病院に受け入れられず、最後に搬送された病院で死亡が確認されるという痛ましい事故がありました。救急医療では最後の砦とされる三次救急 県立姫路循環器病センターには、救急車から受け入れの打診すらされなかった事実は播磨地域の住民に衝撃を与えました。実はこのときに最後に受け入れたのは、赤穂市民病院でした。

この赤穂市民病院は「救急患者を断らない」という院長の方針があったのです。昨年この事件が大きく取り上げられた際には、「姫路で急速に進む医療崩壊が問題の要因」、「現在、播磨の救命救急センターは十分機能していないのではないか。当院を含め三次救急を担える病院を対象に指定見直しを検討すべきでは」と同赤穂市民病院の副院長が神戸新聞で発言されていました。

一方、同病院を運営する赤穂市の豆田正明市長は今年3月の赤穂市議会において、「今、赤穂の市民病院は救急医療を受け入れるという体制だが、それに伴い、医者の労働が非常に過剰になってきている。 そんな中では、姫路辺りの救急センター、循環器センター、この辺がきちっと救急を入れないと、赤穂市民病院の救急体制そのものが維持できなくなる」と発言されていました。そして、この数週間後に、この不安は現実のものとなりました。地域医療の優等生と見られていた赤穂市民病院が、年度末で研修医を含め十五人の医師が退職したのです。

この後すぐ4月に、衝突事故により両足骨折で同病院に搬送されてきた患者が、脳内出血もあわせて確認され、脳外科医の不在から受け入れを断念。この男性を乗せた救急車は姫路でも受け入れられず、約70キロ離れた神戸市の中央市民病院まで搬送されたと報道されました。「救急患者を断らない」という方針の病院が、数ヵ月後、急にそうした対応できなくなったわけです。赤穂市長が3月に懸念されていたことが現実のものとなりました。

また、8月15日に、姫路市内の2次救急の病院に搬送された救急患者で、担当外の医師しかおらず、市内で他の受け入れ病院を探したものの受け入れ先が見つからず、姫路城北の臨時へリポートからヘリコプターで神戸の兵庫県災害医療センターへ搬送された事例があったと聞きました。話を伺った姫路市救急隊の担当者の方は「本当は姫路市内で受け入れ先をみつけたかった」と言っておられました。「姫路の救急は危機的な状況になっている」と担当された看護師の方も話されていました。

そんな中、民間病院の中で新型救命救急センターの運営について、「行政の支援があるなら」という前提で前向きに運営主体として名乗りをあげられている病院があります。昨日、姫路市で開催された小澤兵庫県災害医療センター長が座長をつとめる、姫路市「第4回救急医療のあり方を検討する会議」で、その民間の病院長が地域の救命救急を担おうという意思について発言されたとききました。私が昨日病院長から直接話を伺いましたら、「経営面でプラス要因はないが、崩壊していく救急医療をどうにかしたいという思いがある。解決しなければならない課題はあるが、県や市の支援を得て、救命救急センターを組み込んでいきたい」と決意を語って下さいました。

この病院では、医師だけでなく、看護師やスタッフなど病院で働く皆さんの意思も救命救急センターの運営に積極的であるときいていますし、Aここ数年毎年3,000台前後の救急車の受け入れをしており、県下でも有数の救急搬送件数という実績もあるということです。またB公益性という点でも、昨年4月に県の「へき地医療拠点病院」に指定されるなど、本県の医療体制の充実にも協力していただいているところです。地元の姫路市としても7月の検討会で河原危機管理監が「中播磨での地域救命救急センターの設置に向け、県との協議を進め、努力していきたい」という趣旨の発言をされていますが、昨日の第4回会議では「姫路市として財政支援も含めて協力したい」と更に踏み込んだ発言されたと聞きました。姫路市の所管する二次医療と県の三次医療という区分はあるものの、姫路市には地域医療の充実という観点で財政面を含め相当な協力をお願いしないといけませんが、法令上、三次救急についての権限は県にあるわけです。

前回、予算委員会での私の質問に県当局は「新型救命救急センターの整備の見込みがある。必要性も含めて検討したい」と答弁していただきましたが、もはや「必要性も含めて検討している場合ではありません」。民間の病院が、採算を度外視して地域の救急医療を守ろうと声を上げ、姫路市も財政負担を含め県との協議を進めると決意した。このような前向きな動きは県としても全力で支援していく必要があり、機を失して事が成就しないということになってはいけません。

この際、昨年12月のような痛ましい事例が二度と発生しないようにするために、県が率先して、姫路市や同病院と設置に向けた協議を行い、早期設置に向けてリーダーシップを発揮すべきであると思いますが、現状どうなっているのか? 県がこの西・中播磨地域の三次救急の充実に、如何なる支援体制をとろうとしているのか合わせてお伺いします。
(答弁者)井戸知事
 昨年12月姫路市での搬送事案を受けて、姫路市が設置した「救急医療のあり方を検討する会議」に県も構成員として参加し、市内の救急医療体制について、1次は休日・夜間急病センターの充実で、2次は空白日のない輪番体制で、3次は地域救命救急センクー設置の可能性について、議論が進んでおります。

 地域救命救急センターについては、救命救急センターの30床が標準的な規模であるのに対し、10床程度の病床で救命牧急センターと同レベルの医療機能を有することになっております。既に救命救急センターが設置されている圏域においても設置することが可能です。

 中播磨・西播磨地域の3次救急医療体制については、現在、県立姫路循環器病センターが重篤な心疾患や脳卒中を中心に対応しており、他の多発外傷、急性腹症などの重篤疾患への対応は、姫路赤十宇病院や、新日鐵広畑病院、国立病院機構姫路医療センターなどの近隣医療機関との連携のもとで実施しています。

 今後、姫路市の検討状況の推移を見守りながら、現在、救命救急センターと同等の機能を果たしているこの近隣医療機関に、地域救命救急センターを併設する可能性について、国、関係機関と調整して参りたいと考えます。

■県立姫路循環器病センター充実/新型救命救急センターにかかる竹内予算委員会質問議事録(080307)
■地域医療再生 西播磨の現場から(神戸新聞HP)
■激論 ひょうごの医療を問う(1)姫路の救急(神戸新聞HP)
■【社説】医師不足でかすむ院是の“思いやり(赤穂民報08/4/19)
5.消防の広域化について 次に、「消防の広域化」について伺います。
消防の広域化とは、言い換えれば消防本部の合併・統合という話であります。これは、平成18年7月に示された消防庁の「市町村消防の広域化に関する基本指針」に基づくもので、管轄人口を30万人以上とし、その組み合わせ等について、県が取りまとめることとされております。

県内には、現在30の消防本部がありますが、そのうち管轄人口10万人末満の小規模本部が全体の6割。職員の充足率が低く、最低の定員充足率の本部は41.7%です。こうした本部では出動要員に十分な余裕もないということです。

そこで、本県でも消防広域化検討委員会を設け、本年7月に消防の広域化についての素案をとりまとめたとききました。その素案では、全体を11消防本部に組織することとし、神戸市消防本部が1市単独で残る以外は、すべての自治体がいずれかの自治体と共同で消防本部を構成することになっております。

そこで既に統合されている本部を除き、今回初めて示された組み合わせを見てみますと、但馬や西播磨・東播磨・北播磨は県民局と同じ所管区域となっておりますが、阪神間では、尼崎と伊丹市で1本部、西宮と芦屋市で1本部、そして宝塚・川西市・猪名川町で1本部、そして三田・篠山・丹波市で1本部との組み合わせが示されております。これら各関係市町にはこの素案に対する意見を求め、今後正式案を示していくということでありますが、この素案では管轄人口に少し差があり、消防庁の求める基準に満たないところもあるようです。

消防庁との調整はどうなのか、また当事者である各市町の反応はどうなのか、消防庁は2012年度末までに移行するという指針を出していますが間に合うのか、今後のスケジュールを含めて教えて頂きたいと思います。
(答弁者)大西孝防災監
 私から消防の広域化についてお答え申し上げます。効率的な業務運営を図りながら、災害の大規模化、多様化等に対応して地域の消防力を強化するためには、広域化の推進は極めて有効であると考えております。

 この広域化の推進に当たりまして、消防庁は、管轄人口30万以上の広域化の規模を示しておりますが、これは一つの目安であり、地理的条件をはじめ地域の事情を十分考慮する必要があるとされております。

 県では平成18年6月の消防組織法改正以来、市町との協議を重ね、翌19年9月には学識者等で構成する消防広域化検討委員会を設置し、検討を進め、本年7月には、これまでの検討経過や地域の実情などを踏まえ、―つには管轄人口30万以上の規模を目安とし、二つには救急医療圈域の実態、三つには消防指令業務の共同化等の市町の目主的な取組みの状況、四つにはその他地理的条件等を総合的に考慮したうえで、現在の30本部を11本部とする組合せ素案を、市町に示したところであります。このため、ご指摘のように必ずしも県民局の所管区域どおりとはなっていない地域もあります。

 素案に対し、各市町においては、広域化の必要性や有効性を認識しているが、ご賛同をいただいていない市町も一部にあり、現在、関係市町の意向の把握と意見調整に努めているところでございます。

 今後とも、市町の目主性を十分尊重しながら調整を進め、今年度内には推進計画を策定することとし、策定後は、助言、調整等必要な支援を積極的に行って、平成24年度末までの広域化実現に取り組んでまいりますので、よろしくご指導お願いいたします。
■兵庫県消防広域化検討委員会「消防の広域化」(素案)2008年7月
6.公費からの選挙祝い金について 次に、公費からの選挙祝い金について質問します。
実は、播磨地方の多くの市町で公費からの当選祝い金について問題が提起され、大きく報道されています。首長や議会の議長から、当選した候補者に公費から当選祝いをおくっていたということです。選挙にはお金がかかりますし、今後の政治活動に期待して当選祝いをする、この寄附というものはありがたく受けたいと思いますが、公費からの支出となると話は別。私は公費からの寄附は受け取りたくありません。

しかし、現実問題として、選挙直後のことを考えたとき、選挙事務所で「そのお祝いは公費から出しているものですか?」なんて聞けません。礼を失しかねない話です。報道では渡した側も批判されていますが、やはり受け取った方がより悪いように書かれていますし、また「政治とカネ」の問題が起こっているというような風に住民の方に思われているのだと思います。

この首長等が公費である交際費から支出する選挙後の当選祝金は、法律上は「政治家の資金管理団体が公費を寄附金として受け取る」ということになるようです。そして、この寄附は地方自治法上、公益があると思えば法律には抵触しないといわれています。政治資金規正法では、寄附の質的制限として、国や地方公共団体から補助金や資本の出資などを受けている法人からの寄附を禁止する規定がありますが、公費そのものは禁止されていません。とはいえ、これは禁止規定がないだけの話です。こうした報道や監査請求が続くことが、政治や選挙の信用を下げることにならないかを危惧します。

現在、播磨地域だけで大きく取り上げられていますが、衆院選を前に、私は今後住民にあらぬ疑いをもたれないためにも、少なくとも兵庫県内では、こうした寄附は自主的に行わないことを呼びかけたり、申し合わせたりする必要があるのではないかと思うわけです。手ぶらで当選祝いに行きづらいという声があるかもしれませんが、各市町間で横並びで実施することで実行しやすくなったり、県として各市町に意識喚起をすることも大切だと思いますがいかがですか、ご所見をお伺いします。
(答弁者)牧企画県民部長
 公費からの選挙祝い金についてお答えいたします。
 議員ご指摘の“選挙祝い金”については、公費から支出されることをもって、直ちに、地方自治法や公職選挙法、あるいは政治資金規正法等の法令に抵触するものでありません。

 しかしながら、地方目治法におきましては「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。」とされております。また、特定の候補者に対する当選祝い等の支出につきまして、行政の政治的中立性を害し、公益性がなく違法であると判断された判決例もございますことから、寄附金の支出にあたりましては、各自治体の長や議会において、その公益上の必要性を、個々の事例に則して慎重に判断すべきものと認識をいたしております。

 公費からの選挙祝い金の支出につきましては、今後とも県内市町に対して、こうした趣旨を十分注意喚起してまいりたいと考えております。
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例規集の検索システムの導入 最後に、今回、私としては当選後初めての本会議質問をつくるに際して、少し不便がありましたのでお話したいと思います。

それは、本県の条例や規則などを調べる「例規集」というものがホームページ上にありますけれども、この例規集に「用語」検索の機能がございませんでした。

実は、県職員の皆さんにとっても用語検索機能は必須だと思い聞いてみましたら、「インターネット上の例規集には用語検索機能はないが、庁内ネットでは用語検索ができます」と言われてしまいました。会派控室のパソコンに特定のアドレスを入力しますと議員でもこのシステムが使えるようですが、現在のところ職員の方だけが使えるようになっているようです。しかし、議員だけでなく、多くの県民や本県の条例を確認することも多い県下の市町の職員も用語検索ができるようにしなれば利便性が低いままであると思います。

47都道府県の中で用語検索ができないところは31もあり、本県だけではありませんでした。ただ県内の大きな自治体、神戸、姫路、尼崎、西宮市といった政令市や中核市等ではすべて用語検索ができました。お金がなくても、無料で用語検索する方法はネット上にも公開されています。世界でもインターネットの最大の強みは検索機能といわれ、最重要視されています。この際、県民がアクセスしやすい例規集にするために検索機能をつけていただくことを求めて第一問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
(答弁者)牧企画県民部長
最後に、ご要望頂きました 県ホームページ上の法規データベースの用語検索機能についてでございますけれども、ご提案の趣旨を踏まえまして、前向きに対応してまいりたいと考えております。
■兵庫県法規データベースHP
■兵庫県市町例規集の検索システム整備状況(竹内調査資料)
■都道府県別状況(県提供資料)

■「Web例規に検索機能と自治体トップページへのリンクを付けよう!運動」のHP